旅行業登録のご相談をいただく中で、ときどき「自社で申請書類は作ったので、内容のチェックだけお願いできませんか」というお問い合わせをいただきます。
費用をできるだけ抑えたい、というお気持ちはよく分かります。
ただ、結論から申し上げますと、行政書士法人シグマでは、事業者様ご自身が作成された申請書類の「確認だけ」という対応は行っておりません
今回は、その理由を率直にお伝えしたいと思います。
申請書類は「事実を整理した結果」であって、書類だけを見ても判断できない
旅行業登録の申請書類は、御社の事業内容・組織・財産的基礎・営業所の体制といった事実関係を整理し、登録要件に照らして組み立てた「結果」として出来上がるものです。
つまり、書類を正しく確認しようとすれば、その前提となる事実をこちらで一つひとつヒアリングしなければなりません。記載されている内容が御社の実態と合っているのか、要件を満たす形に整理されているのか——これは、書面を眺めるだけでは判断のしようがないのです。書類だけを渡されて「合っていますか」と問われても、私たちは「その書類の元になっている事実が分からないので、確認のしようがありません」とお答えするほかありません。
見栄えの良い書類が、そのまま「正しい申請」とは限りません
ここで、費用や手間の話よりも先に申し上げておかなければならない、大切なことがあります。
書類としての体裁が整っていても、その内容が登録要件を実際には満たしていなければ、その申請は虚偽の申請になってしまいます。見栄えが良いことと、事実に裏打ちされて要件を満たしていることは、まったく別の問題です。そして私たち行政書士は、内容が事実と異なる申請、要件を満たさない申請のお手伝いをすることはできません。虚偽申請に加担することは、職業上、決して許されないからです。
だからこそ、私たちは渡された書類の見た目だけで「大丈夫です」と申し上げるわけにはいきません。その書類の背後にある事実関係——財産的基礎は本当に基準を満たしているのか、営業所や体制は記載のとおり実在するのか——を、こちらでしっかり確認させていただく必要があります。そして、この事実確認そのものに、相応の工数がかかります。「確認だけ」という形では、この最も重要な部分を省くことができないのです。
「書類に書いていないこと」の指摘は、確認ではなくノウハウの提供です
加えて、実際の審査では、事業者様が当初ご用意された書類だけでは足りず、登録行政庁から追加の資料や説明を求められることが少なくありません。何を補足で求められるかは、事業の内容や行政庁の判断によって変わります。
「この書類では、行政庁からおそらくここを聞かれます」「だからこういう資料を、こういう形で足しておくべきです」——こうした先回りのご案内は、過去の多くの申請に立ち会ってきた経験があって初めてできるものです。そしてこれは、書類が正しいかどうかの「確認」ではなく、私たちが積み上げてきた申請のノウハウそのものの提供にほかなりません。
不十分な点を見つけて「ここが足りません」と指摘するだけでは、御社の手続きは一歩も前に進みません。本当に価値があるのは、その足りない部分を「どう直せばよいのか」「どんな資料で補えばよいのか」まで具体的にお示しすることであり、それはまさにノウハウの提供です。「確認」という言葉から想像される費用感で、この中身までお引き受けするのは、正直なところ成り立たないのです。
工数は、書類を実際に見てみるまで分からない
さらに難しいのは、その手間がどれだけかかるのかを、事前に見積もれないという点です。
書類の出来栄えは、拝見してみるまで分かりません。ほぼ整っていて少し補えば足りるものもあれば、前提となる事実の整理から大きくずれていて、一から組み立て直したほうが早いものもあります。つまり「確認だけ」と一口に言っても、実際の作業量は中身を開けてみるまで読めないのです。
精度の低い書類ほど、修正方針を立て、ご案内し、直していただき、また確認し……というやり取りが何度も発生します。こうなると、最初から私たちが事実をうかがって作成するのと変わらない、むしろそれ以上の手間がかかってしまう。事前に工数の読めない作業を、定額の「確認サービス」という枠で線引きすること自体が、そもそも難しいわけです。
事務所側の負担は「ゼロからご依頼いただく」ほうが軽いことが多い
「確認だけ」というご依頼は、一見すると私たちの作業が少なく済むように思えます。ところが実務上は逆で、他者が作った書類の意図を読み解き、事実関係を確認し、不足を洗い出し、修正方針を立て、それを行ったり来たりで詰めていく作業は、ゼロから組み立てるよりも神経を使い、結果として事務負担が大きくなりがちです。
費用を節約したいというお気持ちと、事実確認やノウハウの提供を含む実際の作業量とが、どうしてもかみ合わない。これが「確認だけはお引き受けしていない」最大の理由です。
ご自身で進める道と、ご依頼いただく道
ここまで申し上げた上で、最後に二つの選択肢を率直にお示ししたいと思います。
一つは、ご自身で作成した書類をそのまま登録行政庁に提出してみる、という道です。行政庁は提出された書類に不備があれば指摘してくれますので、その指摘に沿って直し、再度持参すればよいのです。手間と時間はかかりますが、費用をかけずに進められます。とにかくコストを抑えたい、自分の手で手続きを経験してみたい、という方にとっては、十分に合理的な選択です。
もう一つは、事実関係のヒアリングから私たちにご依頼いただく道です。行政庁との「行ったり来たり」をできるだけ少なく、的確に、そして事業開始後まで見据えた形で、手続きのスピードと確実性を高めて進められる点に価値があります。
「確認だけ」という中間の形がうまく機能しにくい、ということはこれまで申し上げてきたとおりです。
その上で、手続きのスピードと確実性を高めたい方のみ、ぜひ一度ご相談ください。事実関係のヒアリングから、登録というゴールまで一緒に走らせていただきます。

















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