発起人の銀行口座へ払込みを行った資本金(資本準備金)はいつから使えるのでしょうか。
旅行業の新規登録申請を行わない新設会社さんの場合は、法人口座に移す前であっても、資本金を使用しても問題ございません。
旅行業登録を予定する会社では資本金の利用に注意が必要
一方で、旅行業の新規登録申請を行う新設会社さんの場合は、法人口座に移す前に資本金の額を使わない方が良いでしょう。
発起人の銀行口座に払い込まれた資本金(資本準備金)の全額を法人口座に移動して、入金の履歴を残した後にその法人口座から引き出す形で使用した方がよいでしょう。
法人口座へ資本金を入金する前に支払いがある場合は、経営者が一旦その支払額を個人で立替えて、法人口座へ入金後の預貯金で精算を行ってください。
資本金を使ってしまうと残高証明書が取れない危険が生じる
と申しますのは、旅行業の新規登録申請を円滑に行うためには、基準資産額を満たす資本金で会社を設立し、会社設立後にその資本金の額が預貯金として、法人口座の残高証明書に記載されていることが求められています。
もし、法人口座に移動する前に資本金を使ってしまうと、発起人の銀行口座へ払込んだ資本金の額を、残高証明書に記載することができなくなってしまいます。
決算期を迎えていない会社は決算書の変わりに残高証明書を提出
旅行業の新規登録を行う際、お金の要件である「基準資産額」を満たしていることを証明するために、税務署に提出した直近1期分の決算書を提出致します。
会社を設立して最初の決算期を迎えていない場合は、直近の決算書が存在しないため、旅行業の新規登録申請は、2期目以降でないとできないように思えますが、1期目の途中でも、旅行業の新規登録申請を行うことが可能です。
1期目の途中に旅行業の新規登録申請を行う場合は決算書の提出は不要ですが、別の書類を提出することで基準資産額の証明を行います。別の書類とは、開始貸借対照表と金融機関が発行した法人口座に関する残高証明書になります。
残高証明書は基準資産額を立証する非常に重要な書類となる
法人口座の残高証明書は、旅行業の新規登録申請を行う上で、基準資産額を立証するために非常に重要な書類です。
残高証明書に記載された預貯金の額が基準資産額を満たしていないと、追加書類の提出を求められます。
登録行政庁や旅行業協会の担当者によっては、基準資産額を満たしていないと判断されうることも考えられますので、旅行業の新規登録申請を行う新設会社は、資本金として発起人から払込まれた額全額を、法人口座に移動するまでは、資本金は使わない方が良いでしょう。
せっかく、基準資産額を満たす資本金で会社を設立しても、証明書類の不備で、旅行業登録の申請手続きが円滑に進まなくなってしまいます。
会社設立と旅行業登録を同時に進められる方へ
当法人で旅行業の新規登録申請以外にも、会社設立手続きもお手伝いしております。当法人でお手伝いした事業者さんの場合は、法人口座の残高証明書に記載された預貯金の額が資本金より少ないというケースはありません。
一方で、会社設立手続きが当法人が関与していない場合は、資本金の額が記載された残高証明書が取得できないというケースが散見されますので、資本金を引き出して使う時期にはお気を付けください。