旅行会社設立の際、「この社名で行きたい!」と明確に決まっている方もいらっしゃいますが、中には「この社名でよいだろうか?」」とか「他の旅行会社は、設立のときどのような社名にしているのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃいます。
そこで、本ページでは旅行会社の社名を決めるとき気をつけるポイントや、旅行会社設立の際に検討されることの多い社名のパターンについて、触れてみたいと思います。
旅行会社の会社名を決めるとき気をつけること
旅行会社の会社形態は必ず社名に入れる
まず会社名を決めるときの大原則について。もし旅行会社を株式会社で設立するときは、会社名の前や後に必ず「株式会社」を入れなければなりません。同様に、旅行会社を合同会社で設立するときは、会社名の前や後に「合同会社」を入れることになります。
つまり、会社名を見ただけで、その旅行会社がどのような会社(法人)の形態をとっているか、すぐわかるようにしておかなければなりません。
たとえば、株式会社なら「何々トラベル株式会社」とか「株式会社何々トラベル」といった具合です。
近隣に同じ旅行会社名が無いか念のため確認
もうひとつ、これは法律的に決まっているというものではありませんが、その旅行会社名が近隣で使われていないかという点は、旅行会社設立前に確認しておくほうがよいでしょう。
これは、似たような旅行会社名が近隣で使われていると、後日に様々な問題が生じやすいためです。もっとも起こる可能性が高い問題は郵便物等の誤配ですが、お客様が近隣の旅行会社と混同してしまう問題も生じてしまう可能性があります。そういった問題が生じる以前に、既存会社から「社名が似ているので変えてほしい」と言われてしまうこともあるようです。
また、登録行政庁が東京都・埼玉県の場合は、あらかじめ似たような旅行会社名が存在しないかの確認をするよう求められております。確認の方法は、東京都や埼玉県の旅行業登録申請窓口に電話等で問合せをすることで調べることができます。主たる営業所を東京都内・埼玉県内に置く予定の第2種、第3種、地域限定、旅行業者代理業の登録を行う場合は、類似商号の事前確認を忘れずに行いましょう。
登録行政庁が東京都の場合
東京都産業労働局観光部振興課旅行業担当
TEL 03-5320-4769
登録行政庁が埼玉県の場合
埼玉県産業労働部観光課企画・国際観光担当
TEL 048-830-3950
設立の際「こんな旅行会社は近くに無いだろう」「これならユニークな名前なので大丈夫だろう」と思っていても、調べてみると意外と多く存在していることもあります。念のため、確認しておくことをおすすめします。
法務局の会社検索端末で確認する
近くで同じような会社名が使われていないか確認するときは、法務局に設置されている法人検索端末を利用すると便利です。会社名を入れて検索をかけると、同様の社名の会社が一覧表示されます。
これは少し余談になりますが、ついでにその会社の事業目的なども確認しておくと、これから設立する旅行会社の事業目的に欠けている目的が見つかったりするので、一石二鳥です。
有名企業の会社名と被らないか確認
最後に念のため、設立予定の旅行会社の会社名の候補を、インターネットなどで検索して確認しておきます。旅行会社に限らず、有名な企業の会社名と類似したものを使ってしまうと、最悪の場合、後で訴えられてしまう危険があるためです。
読み方が難しい会社名は避けた方がよい
会社名に造語にされる場合、その会社名が周囲が読めるかというのも気を付けた方がよいでしょう。いわゆる難読の会社名だと、お客様や取引先様が読み方に困られることが多いです。シンプルだと他の会社名と被る可能性があり、オリジナリティを前面に出すと難読になってしまうので、社名を考えるときは、ご家族やご友人に相談しながら決めるのも一つの方法です。
旅行会社設立のとき比較的多い会社名のパターン
さて、以上が旅行会社設立にあたって、会社名を決めるとき気をつけるポイントでしたが、では実際のところ、設立時にはどのような会社名を付けることが多いのでしょうか。
もっともシンプルなところでは、設立される方の名字を使う、または一般的抽象的な名詞を社名に入れつつ、「トラベル」「観光」「ツーリスト」「ツアー」等の旅行会社であることがわかりやすい単語と組み合わせるパターンです。
たとえば田中さんが「田中トラベル株式会社」と付けたり、一般的な名詞として「株式会社ひまわり観光」などと付けたりすることが多いです。
会社名を後で変更することは可能
どうしても設立のときに「これだ!」と思う会社名の候補が出ないときは、とりあえずの会社名でスタートして、後日に変更するということもできます。
もっとも、一度会社名を決めてしまうと、その社名で様々な販促を行ったり、備品を揃えたり、契約を結んだりすることになります。後でそれらを変えるとなると、手間は思った以上に大きなものとなります。細かい話ですが、名刺だけではなく、法務局に登録している会社実印や銀行印、見積書、請求書、領収書に押している角印も新しい会社名のものを準備しなければなりません。
また、手続き的にも法務局での社名変更登記申請手続きや、旅行業の登録行政庁へ変更届出手続きが必要だったり、銀行、税金や社会保険の情報変更の手続きを要したりなど、想像以上に手間と費用がかかるものです。
そのため急いで旅行会社を設立する場合でも、会社名は最初からしっかり決めてしまうほうが無難です。