第1種旅行業登録の要件を確認しよう

第1種旅行業登録の要件を確認しよう

旅行業は登録の種別により取扱可能な旅行商品が異なります。また、登録種別によって、登録条件(要件)も異なっています。

旅行業登録の中でも、第1種旅行業の登録はもっとも要件が厳しいです。取得できる基準を会社がギリギリ満たすか否か、判断に迷われるケースもございます。

そこで、このページでは第1種に絞り、旅行業登録の要件についてご説明いたします。チェックシートPDFファイルもダウンロード可能ですので、特に基準資産額の判断では本ページと合わせてご利用ください。

第1種旅行業の登録と要件

第1種旅行業者が取扱い可能な旅行商品を表にまとめると、下記のようになります。

企画旅行 手配旅行

他の旅行業者の募集型企画旅行の販売

旅行相談業務
募集型 受注型
海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内
第1種
○:取扱可
△:取扱範囲に制限あり
×:取扱不可

第1種旅行業登録を取得すると、募集型企画旅行が海外と国内の両方を取扱うことが可能になります。

一般的に『パッケージツアー』『パック旅行』と呼ばれている旅行商品は、旅行業法上では募集型企画旅行と呼ばれています。

募集型企画旅行とは、旅行業者が、旅行者の募集のために、あらかじめ、目的地や日程、宿泊、交通、観光などのサービス内容、料金といった旅行計画を作成して、パンフレットや広告などで参加者を募集して実施する旅行のことです。

旅行業者は、募集型企画旅行契約において、旅行者が旅行業者の定める旅行日程に従って、運送・宿泊機関等が提供する運送、宿泊その他の旅行に関するサービスの提供を受けることができるように、手配し、旅程を管理することを引受けます。

海外の募集型企画旅行を企画・実施するためには、第1種旅行業登録が必要。

募集型企画旅行は、国内と海外に分かれていますが、海外の募集型企画旅行を企画・実施するためには、第2種旅行業登録では足りずに、第1種旅行業登録を取得する必要があります。

第1種旅行業の登録を取得すると、旅行業法で定められている旅行業務の全てを取り扱うことが可能になります。従って、旅行業界で最も格があるのが「第1種旅行業登録」となります。

旅行者や取引先からの信頼度は高いと言えるでしょう。

しかしながら、第1種旅行業は、登録種別の中ではもっとも取得するハードルが高いと言えます。

第1種旅行業登録を受けるためには、他の登録種別と同様に営業所を確保しなければなりませんし、「人」に関する要件を満たさなければなりません。

また、法人で申請する場合には、事業目的の記載方法にも、注意が必要です。

そして、第1種旅行業登録を取得する上で、障害になりやすいのはお金に関する要件でしょう。

お金に関する要件(財産的要件)

第1種旅行業登録を受けるためには、旅行業法で定められた財産的基準を満たしていなければなりません。

この財産的基準を基準資産額と言いますが、第1種旅行業登録を取得するためには、基準資産額が3,000万円以上であることが求められます。

基準資産額を資本金の額と考えられている事業者さんが多いのですが、基準資産額=資本金の額ではありません。

つまり、資本金3,000万円であっても、それをもって、基準資産額を満たしたことにはなりません。社内に3,000万円以上の現預金があればこの基準を満たしていることにはなりません。

基準資産額を算定するためには、計算式に数値をあてはめて、算出する必要があります。

この基準資産額の計算には、旅行業登録申請日前直近の、確定貸借対照表の数値を使用します。

1期目の決算期を迎えていない新設法人の場合は、開始貸借対照表に記載されている数値で判断します。

第1種旅行業登録の基準資産額

第1種旅行業登録の基準資産額3,000万円以上であることが求められております。さらに、最低営業保証金が7,000万円(旅行業協会へ入会する場合は最低弁済業務保証金分担金1,400万円)の納付が必要となります。

第1種旅行業登録の財産的要件は、これから旅行業を始められる事業者さんには非常に高いハードルです。とはいえ、旅行者(お客様)を保護するために定められているのが財産的要件です。基準資産額を満たすことはできない場合は、増資手続き等を行ってから、第1種旅行業の登録申請を行うことになります。

また、これから株式会社を設立して第1種旅行業登録の申請を行いたい場合は、発起人(新会社の株主になる方)は、旅行業協会へ入会しない場合は1億円、旅行業協会へ入会する場合は4,400万円の払込みを行わなければなりません(ともに最低額です)。

開業資金圧縮のため第1種旅行業登録は旅行業協会入会を検討する方が多いです

払込んだ額の全額を資本金の額とはせず、払込金額の2分の1を資本準備金とする場合でも、払込に必要な資金額は同じです。

そこで、第1種旅行業は他の種別の比べて立ち上げ時に多くの資金が必要になるため、多くの事業者さんが、その資金を圧縮するために旅行業協会へ入会して、第1種旅行業登録申請を行われます。

昨今は、旅行者であるお客様は、旅行業協会の保証会員である旅行業者さんを選ばれる傾向にありますので、第1種旅行業の場合は、旅行業協会へ入会することは必須だと考えられた方がよいのかもしれません。

なお、当法人で過去にお手伝いした第1種旅行業登録申請案件では、すべての事業者さんが、旅行業協会へ入会することを選択されております。

基準資産額の計算方法

税務署へ提出した決算報告書の中より貸借対照表をお手元にご準備ください。

貸借対照表の数値を使って、以下計算式に従って基準資産額を計算していきます。

基準資産額=(Aの資産の総額)-(不良債権)-(創業費その他繰延資産)-(営業権)-(Bの負債の総額)-(所要の営業保証金又は弁済業務保証金分担金)
貸借対照表

基準資産額チェックシート(第1種旅行業登録)

基準資産額については、注意事項と計算表をまとめた「基準資産額チェックシート」をPDFファイルでご用意しました。ぜひ貴社の第1種旅行業登録の要件確認にご活用ください。

基準資産額チェックシート

人に関する要件(人的要件)

第1種旅行業登録を取得するためには、一つの営業所につき、1名以上の旅行業務取扱管理者の選任が必要です。

旅行業務取扱管理者の選任

従業員数が10名以上の営業所には、2名以上の旅行業務取扱管理者の選任が必要となります。

また、海外旅行を取扱う営業所には、必ず「総合」旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。

選任とは、常勤専任で就業させることを言います。

第一種旅行業登録を取得を希望される事業者さんは、海外旅行の取扱が動機になると考えられますので、旅行業務取扱管理者の資格は「国内」では足りずに、「総合」又は「一般」旅行業務取扱管理者試験に号合格される方を選任しなければなりません。

申請会社の会社役員や旅行業取扱管理者が、登録拒否事由に該当しないこと

第1種旅行業を取得される方は個人ではなく、会社になると思います。会社が第1種旅行業登録の取得を目指す場合、その会社の取締役・監査役そして、それぞれの営業所に配属される旅行業務取扱管理者が、旅行業法で定められている登録拒否事由に該当しないことが求められます。

(1)旅行業法第19条の規定により旅行業又は旅行業者代理業の登録を取り消され、又は第旅行業法37条規定により旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過していないものを含む。)

(2)禁固以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者

(3)暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)

(4)申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者

(5)営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記(1)~(4)のいずれかに該当するもの

(6)旅行業法第6条第1項第6号において規定する、心身の故障により旅行業、旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

(7)法人であって、その役員のうちに上記(1)から(4)又は(6)のいずれかに該当するもの

(8)暴力団員等がその事業活動を支配するもの

会社の事業目的

法人で第1種旅行業登録を申請する場合は、定款と履歴事項全部証明書に記載されている事業目的にも、注意が必要です。

第1種旅行業登録を受けるためには、事業目的の記載に「旅行業法に基づく旅行業」又は「旅行業」と記載する必要があります。

また、旅行業と兼業で旅行傷害保険の販売を行うためには、損害保険代理店業などの記載も必要です。

第1種旅行業登録で判断しにくい要件

上記のような要件のうち、人に関する要件や、登録拒否事由は、第1種旅行業登録以外の種別でも求められるものです。

これから第1種旅行業登録申請を検討される事業者さんの多くは、基準資産額の要件で悩まれるケースが多いようにお見受けしております。

とはいえ、許可要件のハードルが高い第1種旅行業ですが、登録要件を整えることができたら、設立間もない最初の決算期を迎えていない新設法人でも第1種旅行業登録を取得できる可能性はあります。

行政書士法人シグマにご相談を頂くケース

第1種旅行業登録の取得を検討されている方からは、直近の決算書で基準資産額が3,000万円以上あるのかかどうか判断できなかったり、これから株式会社を設立して第1種旅行業登録申請する場合には、資本金をいくらに設定すればよいのかといったご相談が多いです。

また、第1種旅行業登録の登録行政庁は観光庁のため、観光庁からのヒアリングが不安を感じられている方や、観光庁との書類のやりとりを面倒に感じられている方からのご相談もございます。

第1種旅行業登録の要件について貴社内での判断が難しいときは、一度当法人までご相談ください。

まずはお電話・メールにて、旅行業起業や旅行業登録の手続きに関するお悩みをお聞かせください。

直接のコンサルティングに進む際は、都庁前オフィス、武蔵小杉オフィスまたはZoomにて承ります。

直接相談の後、旅行業登録や旅行会社設立の代行をご希望の方は、業務お申込後に着手いたします。

電話でのご相談

お電話でのご相談の際は、適切な担当者・回答内容となるよう、お名前、会社名、電話番号、相談されたい許認可の内容についてヒアリングさせていただいております。

※We are very sorry, but we are available only in Japanese language.

メールでのご相談  

返信まで時間がかかる場合がございますので、お急ぎの方は電話でご相談ください。

海外からメールを送信される方へ

※海外からメールフォームでお問い合わせいただく際に、「メッセージは送信されました」と表示されても、メールが届かないケースが多くなっています。
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