旅行業協会に加盟しなくても旅行業登録の取得やその維持をすることはできます。とはいえ、多くの旅行会社さんは旅行業協会に加盟しています。旅行業協会加へ加盟すると、入会金や年会費の支出が生じてしまいますが、次のようなメリットがあります。
旅行業協会へ加盟する5つのメリット
1.営業保証金の削減
旅行業登録の際に必要な営業保証金の代わりに、協会に入会することでその金額の5分の1にあたる「弁済業務保証金分担金」を納付することで済み、資金負担を大幅に軽減できます。
2.業界情報の提供
最新の旅行業に関する法改正や業界トレンドを把握できます。
3.研修やセミナーへの参加
スキルアップや業務改善のための各種研修に参加する機会が増えます。
4.相談・サポート体制
トラブル時の相談窓口やサポートが提供されます。
5.信頼性の向上
協会の会員であることは、顧客や取引先に対して信頼性を示す証となります。
旅行業協会といっても2つの協会があります。一つは日本旅行業協会です。もう一つは全国旅行業協会です。日本旅行業協会はJATA(読み:ジャタ)、全国旅行業協会はANTA(読み:アンタ)と、それぞれの略称で呼ぶことがあります。
取扱う旅行商品が国内旅行を主力としている旅行会社さんは、加盟する協会を全国旅行業協会(ANTA)を選ばれることが多い印象を受けています。
日本旅行業協会(JATA)は入会審査を随時行われていますが、全国旅行業協会(ANTA)は、協会が公表している入会審査の流れに則って行うことになります。その入会審査は、概ね2か月毎に行われています。
2024年10月の全国旅行業協会(ANTA)東京都支部の入会スケジュール
主たる営業所を東京都内に置かれる事業者さんは、東京都支部さんの入会審査を受けて頂きます。
直近の入会審査スケジュールが公表になりました。
- 入会書類の提出期限 2024年10月17日木曜日
- 入会審査日 2024年10月24日木曜日 ※予備日は10月25日金曜日
- 入会承認書受領時期 2024年11月下旬(予定)
入会審査の予備日は、入会申込者が多数いる場合にその日に入会審査を追加で行われることになります。
入会審査日には、代表者と旅行業務取扱管理者の出席が必要になりますので、10月の入会審査を受けられる事業者さんは、10月24日と25日の2日間は予定をあけておきましょう。
入会審査を通過すると、全国旅行業協会東京都支部事務局より入会承認書と入会金・年会費の請求案内が郵送で届きます。
入会金・年会費の支払いは、東京都より旅行業登録を取得してからになりますが、入会承認書を旅行業登録申請書類に添付して、東京都へ旅行業登録申請を行うことになります。
入会承認書を受け取ってからのスケジュール
11月下旬に入会承認書を受領し、仮に、11月25日の週に、東京都へ旅行業登録申請書類を提出した場合のスケジュールは次のようになります。
なお、このスケジュールは東京都の審査が滞りなく進行することを前提にしたものになります。補正などで審査が中断した場合は、登録取得は遅れることをあらかじめご承知おきください。
- 登録通知書の受領 2024年12月26日木曜日
- 弁済業務保証金分担金などの納付期限 2025年1月9日木曜日
東京都より旅行業登録通知書を受領してから14日以内に、弁済業務保証金分担金や旅行業協会の入会金・年会費を納付しなければなりません。
これらの支払期間が年末年始に重なると、金融機関の営業日と都庁の開庁日が限定されるため、通常よりも厳しいスケジュールで登録後の手続きを行うことになってしまいます。
余裕をもって登録後の手続きを行いたい場合は、登録通知書の受領が2025年1月9日以降になるように、登録申請書類を提出する時期を調整しましょう。通常でしたら、12月2日以降に、都庁へ旅行業登録申請書を提出すれば、登録通知書の受領は2025年1月9日以降になると思われます。
旅行業協会へは誰でも入会できるのか?
旅行業登録の取得と同時に旅行業協会へ入会したい場合、東京都へ旅行業登録申請書類を提出する前に、旅行業協会の入会審査を受けなければなりません。旅行業協会への入会は、旅行業登録後であっても可能ですが、誰でも入会することができるわけではありません。
全国旅行業協会の入会規則には、会員になろうとする者が、次のいずれかに該当する場合は、その入会を拒否することができるという規定があります。
- 代表者又は役員が、過去5年以内に旅行業法第50条第3項の規定により旅行業協会保証社員の地位を失った旅行業者等の代表者又は役員になっていた者がいる場合
- 代表者又は役員の中に、旅行業協会より除名処分を受けた旅行業者などの代表者又は役員となっていた者がいる場合
- 代表者又は役員の中に、旅行業法における違反行為があり、過去5年以内に刑事等の処分を受けた者がいる場合
旅行業法第50条第3項では、弁済業務保証金の還付があった際に、旅行業協会より通知を受けた還付金充当金の納付を行わずに旅行業協会の社員の地位を失うと規定されています。つまり、過去に経営していた旅行会社で弁済業務保証金の還付があり、還付金充当金の納付を行わずに旅行業協会の社員を失った場合は、別会社で旅行業協会へ入会しようとしても拒否されることがある、ということです。
また、入会規則に規定されている入会拒否事由の他に、基準資産額を満たしていない場合は旅行業協会へ入会することができません。
旅行業登録取得時は旅行業協会へ入会しなかったけど、旅行業登録取得後に数年経ってから旅行業協会へ加盟したいというときは、直近決算期において基準資産額を満たしていることが求められます。
旅行業登録後に旅行業協会へ入会申請をしたが、基準資産額を満たしておらず、増資をしないとダメだというケースが増えています。
基準資産額は、旅行業登録の更新時以外にも、旅行業協会へ入会時にも重要になりますので、ご注意ください。