旅行会社を設立して旅行業を開業するまでには、どのような手続きが必要となり、総額でどれくらいの費用がかかるでしょうか。
- 旅行会社設立の手続き
- 旅行業協会への入会(または供託)手続き ※旅行業協会への入会は任意です。
- 旅行業登録の手続き
- 融資申請手続き(必要な場合)
開業までには上記のような手続きを要しますが、このページでは最初の手続きである旅行会社設立について、より詳しく見ていきたいと思います。
旅行会社設立の手続き
旅行会社設立といっても、この段階では旅行会社以外の事業内容を行う会社と手続き的・費用的な違いはほとんどありません。
旅行会社ならではの気をつけるべき点は、手続き的には後回しとなる旅行業登録の要件を満たすように設立段階から基準資産に気をつける点と、管轄行政庁によっては会社名の決定にも予め気をつけるという2点です。
さて、旅行会社設立の手続きですが、営業可能に至るまでには通常、以下のような流れになります。
旅行会社の概要を決定する
まず設立で行わなければならない手続きは、旅行会社の概要の決定です。会社を設立するためには会社の根本規則である「定款」(ていかん)を作らなければなりませんが、これを作っていく過程で旅行会社の概要を固めていくことになります。
主な決定項目は、旅行会社の会社名(「○○トラベル株式会社」など)、事業目的、本店所在地、資本金、事業年度、出資者や役員の構成などです。
旅行会社の会社名は後に意外と問題が生じやすいため、上のリンク先ページも合わせてよくご確認頂き、問題のない会社名を確定させるようにしてください。ここは他の会社と異なる点ですから、多少注意しながら進める必要があります。
株式会社と合同会社
ところで、当法人で旅行会社設立の手続きをご依頼頂く際、株式会社と合同会社、どちらの会社形態を選択するべきか迷われる方も意外と多くいらっしゃいます。
株式会社と合同会社、それぞれ長所・短所があり、起業される方の状況に応じて適切な方を選択頂くことになりますが、どちらを選択すべきか概ね以下のような方向性はあるかと思います。
- 後々、会社を大きくしようと思っているなら株式会社
- 代表者の肩書を「代表取締役」としたい場合は株式会社(合同会社の代表者の肩書は「代表社員」です)
- 小規模な組織での経営を念頭に置いているなら合同会社も可
- とにかく設立費用を抑えた起業なら合同会社
- 「株式会社のほうが聞こえがいいけど、コストを考えると・・・」と迷っているなら合同会社、ではなくできるだけ株式会社
最後に挙げた例は、本当は株式会社を作りたいのに、コストを抑えて合同会社のほうがいいかなと妥協的に設立してしまうと、後日、結局株式会社に組織変更を行うなど余計な手間とコストがかかってしまうことが多いのが理由です。
また、設立前段階で既に取引先が決まっており、会社さえ設立してしまえば仕事がすぐ回るという場合はよいのですが、設立後に顧客を開拓していくというケースでは、「株式会社」「(株)」のほうが違和感なく営業活動が行える可能性も考えられます。
これは「合同会社」や省略である「(同)」は、まだ馴染みの薄い人も多いためです。
旅行会社の事業目的
設立する会社の主要業務が旅行業であるときは、会社の定款に記載する目的に「旅行業法に基づく旅行業」や、より単純に「旅行業」などの目的を入れておかなければなりません。
仮に旅行業を行うことを目的に記載しないで設立を完了してしまうと、旅行業登録を行うにあたって、定款の目的追加(およびそれに伴う登記変更)を要することになります。
この際、変更後の定款にあらためて公証役場で認証をしてもらう必要はないものの、法務局での事業目的の登記変更は必要となりますから、少なくとも3万円の登録免許税を納めなければなりません。
無駄な費用や手間が生じないよう、旅行業に関する事業目的はしっかりと定めるようにしてください。
事業目的の記載で悩むとき
もし事業目的について、どのように記載すべきか悩んでしまうときは、同じような規模で同じような旅行業を行っている会社を2、3ピックアップして、お近くの法務局出張所でその会社の法人登記事項証明書を取得するのも一つの手です。
登記事項証明書の取得には1通あたり数百円の費用がかかりますが、他の会社がどのような目的を定款に(登記上に)記載しているか、現物を確認することができます。
ちなみに、他社の登記事項証明書を取得するときは、その会社の本店所在地等ではなく、最寄りの法務局出張所で取得が可能です。
その他の事業(副業)
旅行業以外にも、会社として事業を展開する場合は、その内容も合わせて定款の目的に記載することになります。
目的の数はいくつでも設立手続きにかかる費用は変わらないので、起業後に比較的短時間で事業開始が見込まれるものや、すぐ事業開始とはならずとも事業開始の可能性がかなり高いものなどは、目的として並記しておきましょう。
ただし、あまりに多すぎると怪しい会社の雰囲気を帯びてしまいますし、銀行口座開設や融資を前提とする場合にも指摘が入る可能性があります。それなりに具体的予定のある事業につき、ほどほどの数で設定しておくほうが無難です。
旅行会社の本店所在地・主たる営業所
本店所在地は、起業直後であればご自宅や小さな賃貸事務所、レンタルオフィスなどを利用するケースが多いのですが、旅行会社の場合は『本店所在地=主たる営業所』とされる旅行会社が多いため、設立後の旅行業登録を念頭に、会社本店(主たる営業所)の場所を決める必要があります。
小さな賃貸事務所を営業所と使用する場合は、賃借人を法人名義、使用目的を事務所として借りていれば、旅行業の営業所としてほぼ使用することは可能です。
バーチャルオフィスでの旅行会社設立
とはいえ、小さな事務所を借りるためには、保証金やオフィス家具などでまとまったお金が必要になるため、バーチャルオフィスやレンタルオフィス、社長の自宅マンションを営業所としたいとお考えの旅行会社もいらっしゃいます。特にバーチャルオフィスは、有名な商業地区を本店所在地とできることから、対外的なイメージの面で活用を検討される起業家様も多くいらっしゃいます。
しかし現状、バーチャルオフィスでは旅行業登録・営業は難しいといえるでしょう。
バーチャルオフィスでは、住所・電話番号・FAX番号などをレンタルすることはできますが、旅行業務を行うスペースはありません。
旅行業法では、登録票・取扱料金・約款などを営業所内に掲示したり備え置いたりすることが求められているため、業務スペースがないバーチャルオフィスを営業所として旅行業を営むことは業務運営上難しいからです。
レンタルオフィスでの旅行会社設立
個室を継続的に占有するレンタルオフィスの場合は、賃貸借契約書などの使用権限を証明できる書類があれば登録取得の可能性があります。逆にいえば、構造や契約内容によっては、レンタルオフィスだからといって営業所として認められない場合があります。
レンタルオフィスを使って旅行業登録申請を行うときは、そのレンタルオフィスが営業所の要件を満たすか、事前に登録行政庁に確認してから利用契約を結ばれた方がよいでしょう。
社長所有のマンションの一室を使用するとき
社長が所有しているマンションの一室を旅行会社の営業所として使用することもできます。
このようなケースでは、社長個人から旅行会社への賃貸借(使用貸借)契約の締結や、居住用マンションの場合は、管理組合より、その部屋を旅行会社の営業所として使用してよいかの許可を受ける必要があります。
繰り返しになりますが、営業所を借り受ける場合は、賃借人が旅行会社であること、営業所の使用目的が居住用ではなく、『事務所』となっている点が重要になってきます。
旅行会社の資本金
資本金というと、出資したら銀行にそのまま預けて動かすことができないお金であるとイメージされる方も意外と多いですが、実際には会社を動かしていくための資金として活用していくためのお金です。
そのため旅行会社設立の手続きに伴って支出される様々な費用を含め、事業を回していく上で必要な額を出資することになります。
たとえば、株式会社設立にかかる20~30万円の費用、事務所を借りる場合は保証金や賃借料、備品代、そして旅行業協会や供託に積む金額など、全般をまかなっても手元に運転資金が残る程度の資本金は、通常必要になるかと思われます。
旅行業開業までの諸費用総額については、本ページ末尾の諸費用目安(表)も合わせてご参照ください。
資本金と旅行業登録の基準資産の関係
ところで、旅行業登録においては『基準資産額』というお金の要件を満たしていなければなりません。この基準資産額は、旅行業の登録種別ごとに定められています。
基準資産額は資本金の額から、営業保証金の額又は弁済業務保証金分担金の額を引いた額であるため、基準資産額≠資本金ではない点に注意が必要です。
例えば、第三種旅行業の場合は基準資産額は300万円ですが、初年度の旅行業務に関する旅行者との取引額が2億円未満の場合の営業保証金・弁済業務保証金分担金は次の金額になります。
- 営業保証金 300万円
- 弁済業務保証金分担金 60万円
重要な点なので繰り返しますが、『基準資産額=資本金の額-営業保証金又は弁済業務保証金分担金』ですので、仮に資本金の額を300万円で会社を設立しても、基準資産額を満たしていないため第三種旅行業の登録を取得することはできません。
では具体的にどの程度の資本金を設定すればよいかというと、第三種旅行業の場合は旅行業登録後に営業保証金を法務局へ供託する場合は600万円以上の資本金額、旅行業協会に入会して弁済業務保証金分担金を納付する場合は360万円以上の資本金額が必要になります。
なお、600万円、360万円というのはあくまで最低の資本金の額であるため、登録行政庁によってはこの資本金の額だと登録できない場合がありますのでご注意ください。旅行会社設立時の資本金は、旅行業登録の要件を踏まえた上で、多めに準備されることをおすすめします。
以上で述べた資本金は、旅行会社設立手続きの過程でいったん払い込むことを要します。そのため設立完了前の段階で、資金として用意しておかなければなりません。
事業年度
旅行会社設立に当たっては、会社の会計年度を決め、この年度ごとに決算を行い、納税していくことになります。
事業年度について旅行会社特有の注意点などはありません。しかし、事業が多忙な時期と決算申告の時期が重なると毎年大変なので、そこはずらして設定するのがよいかと思います。(事業年度や決算期をいつにしたらよいか、わかりにくい場合は税理士さんと相談するのも一計です)
なお、大きな会社は事業年度を4月1日始まりの3月31日締めに設定していることが多いです。しかし、旅行会社設立にあたっては大きな会社に漫然と合わせるのではなく、消費税の優遇措置など税制面でメリットのある事業年度を採用するのがおすすめです。
設立時の事業年度でもっとも多いのは、できる限り第1期を長く取れるような事業年度を設定していくパターンです。たとえば9月2日に設立した場合は、決算期を8月31日とする旅行会社が多いです。
出資者や役員構成
上記の資本金を誰が出資するのか、そして会社の役員構成をどうするのか、組織的なところを決定します。
出資と経営の関係
株式会社の場合、所有と経営が分離されているため、出資する人と実際に会社を動かしていく人を別々に考えていくことができます。(「私はお金を出す係、貴方は出来上がった会社を経営していく係」など)
そしてこの場合、最終的な会社の所有者はお金を出した出資者(設立後の株主)です。会社の経営方針などの最終決定権を握っておきたいときは、その人が設立において一定以上の割合で出資しておくべきです。
一方、合同会社の場合は所有と経営が原則的には分離されていませんから、お金を出した人が経営も行う(逆に言えば経営していくためにはいくらかのお金を出資する)ことになります。
役員構成
会社を設立する時点では、社長1人、または社長と友人(親族)2人ということがほとんどだと思います。
1人社長の場合は、その人が代表取締役(合同会社の場合は代表社員)となり、取締役兼代表取締役が1名いる会社として設立手続きを進めることになります。この際、この社長が資本金を出資する場合は、出資者からすべて同一人物での設立となります。
株式会社で友人や親族を役員に入れる場合は、その友人や親族にも代表権を与えるのか、そうではなく取締役とするのかによって、会社の実態が多少異なってきます。もっとも、共同代表というケースはそれほど多くなく、大抵の場合は代表権のない通常の取締役とすることが一般的です。
旅行業法上の欠格事由に該当する方は、旅行会社の役員に就任することはできません。
なお、会社設立直後に取締役で構成される「取締役会」や監査役を設置することは稀なため、ここでは説明を省略します。
役員と旅行業務取扱管理者の関係
旅行会社においては、旅行業登録の前提として旅行業務取扱管理者の常勤を求められますが、この旅行業務取扱管理者は取締役などの役員として登記されている必要はありません。
ただし、起業する方が資格をお持ちではない場合は、旅行会社設立後に社員等として雇用する必要はあります。
旅行会社の実印の発注
以上、定款を作成しながら会社の概要を決定したら、次は決定した会社名が彫られた会社実印を作成します。
繰り返しになりますが、旅行会社の会社名はただ決めればよいものではなく、行政庁などで既に登録された会社名と重複しないかなど、十分な確認が必要です。これらを行った後、会社実印を発注することになります。
なお、詳細については別ページにて解説していますので、「旅行会社設立に必要な印鑑の種類と注意点」をご参照ください。
公証役場での定款認証
定款の内容が決まったら、次は公証役場で定款の認証をしてもらいます。(合同会社の場合は定款認証が不要なので、次の手順である「資本金の払込」へ進みます)
その前に一点、電子定款について補足しておきます。
電子定款の活用
旅行会社に限らず、会社の定款を紙で作ったときは、定款に40,000円の印紙を貼付しなければなりません。一方、定款を電子定款の形式で作ったときは、印紙を貼る必要が無くなります。
この電子定款ですが、単にパソコンでWordファイル・PDF等のデータとして作れば良いというものではなく、一定の形式に沿って有効な電子証明書で署名を行って作成しなければなりません。
とにかく設立のコストを抑える場合には、この電子定款をご自身で作ることも検討するべきですが、電子定款を作るためには意外と手間がかかることも多いため、作った定款(案)をもとに行政書士などに電子定款の作成だけ依頼するのも手です。
本来、紙ベースで作った定款には印紙代40,000円が必要ですから、それより安い金額で電子定款の作成を代行してもらえれば、差額分のコストが浮き、手間も省けることになります。
公証役場
作成した定款は、たとえば本店を東京都内に置く旅行会社の場合は東京都内の公証役場で認証してもらいます。
//houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/table/kousyou/all.html
神奈川の公証役場一覧はこちら。
//houmukyoku.moj.go.jp/yokohama/table/kousyou/all.html
ご自身で手続きを進められるときは、作成した定款を持って行ってすぐその場で認証してもらえる可能性はかなり低いです。そのため、旅行会社としての定款案が出来上がった段階で、一度公証役場に電話して、可能ならFAXや現物持ち込みなどで内容を確認してもらうとよいでしょう。
もし定款内容などに問題点があるところ、誤記があるところは指摘してもらえますので、それをすべて修正して、あらためて定款認証の手続きを公証役場(公証人さん)にお願いします。
定款認証の手続き
定款認証は通常、日時の予約を入れてから公証役場に行きます。
必要なものは、その予約の電話で確認しておくべきですが、概ね以下のようなものを持参することになります。
定款 | 紙の定款の場合は、必要な通数などを予め確認して持参します。 |
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発起人の印鑑証明書 | 定款に「発起人」として会社を設立する人は、印鑑が実印であることを確認できるよう市区町村発行の印鑑証明書を持参します。 |
発起人の実印と認め印 | その場で定款内容の訂正が必要になる場合に備えて、可能であれば発起人個人の実印を持参するほうが良いでしょう。 |
公証人の手数料 | 定款認証に関する手数料は50,000円ですが、それ以外に定款謄本の費用がかかることがあるので、数千円余分に持参します。 |
収入印紙 | 紙の定款の場合に40,000円の収入印紙の貼付が必要です。もっとも、定款認証の段階では貼付せず持参し、問題がないことを確認してから貼るほうが無難です。 |
資本金の払込
定款の作成が完了したら、資本金の払込を行います。
この段階では設立予定の旅行会社の銀行口座はありませんので、便宜上、発起人となる人の個人の口座を利用します。発起人が複数人いる場合は発起人のどなたか一人の個人口座に振り込むことになりますが、代表取締役になる発起人の銀行口座へ資本金の払込みを行うことが一般的です。
基本的には、出資する額と同額をできるだけ「振込」で銀行口座に入金し、その通帳コピーと合わせて払込証明書という書類を作成することになります。
特に複数人で出資する場合には、預入で入金してしまうと誰がいくら出資したのか書類上から判断できませんから、面倒でも銀行窓口から「振込」で行うようにします。
法務局で会社設立の登記申請
認証してもらった定款や、資本金の払込を行ったことを証する払込証明書、そして役員への就任承諾書等の必要書類をすべて準備したら、最後に管轄法務局で設立登記の申請を行います。
定款認証の公証役場も同様でしたが、設立登記を行う法務局も、書類を準備したらすぐ登記申請を行うのではなく、予め相談コーナーで問題がないか各書類を確認しておくとスムーズです。
//houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/table/shikyokutou/all00.html
東京で設立する場合、公証役場は原則どの場所にある公証役場で定款認証を行っても問題ありませんが、設立登記の申請を行う法務局は、管轄がかなり細かく分かれているので注意してください。
神奈川の法務局(出張所)一覧はこちら。
//houmukyoku.moj.go.jp/yokohama/table/shikyokutou/all00.html
設立登記の際に必要な書類等は通常、以下のようなものです。
定款 | 公証役場で認証してもらった定款です。 |
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決定書 | 本店の所在場所を決定する書面です。(通常、定款の本店所在地より詳細に場所を指定します) |
就任承諾書 | 役員となる人から会社に対しての就任承諾書です。代表取締役は、取締役としてだけでなく代表取締役としても就任承諾書が必要です。 |
印鑑証明書 | 設立する旅行会社で取締役となる人、全員が必要です。 |
払込証明書 | 資本金を払い込んだことを証明する書類です。 |
登記申請書 | 法務局に設立登記を申請すること自体に必要となる書類です。 |
印鑑届書 | 会社実印として作った印鑑を、法務局に登録するために作ります。 |
登録免許税 | 通常は150,000円となりますが、資本金の額によってはそれ以上かかることもあります。 |
法人名義の銀行口座を開設
設立登記が完了したら、旅行会社の法人銀行口座を開設手続きを行います。
旅行業登録申請時には、開業時の貸借対照表に計上した資本金額に関する残高証明書の提出が求められているため、銀行口座を開設して、発起人個人の銀行口座に払込んだ資本金を、移動させる手続きが必要になります。
法人銀行口座は、個人の銀行口座開設と比較すると、法人であることを証明するための書類等を多数準備する必要があります。口座開設を希望する銀行によって必要書類等は異なりますが、法人銀行口座を開設する際の一般的に必要な書類等は、以下のようなものです。
口座開設依頼書 | 銀行窓口に置いてある書類なので、必要事項を記入します。 |
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履歴事項全部証明書 | 会社設立後に法務局より取得した原本を持参します。 |
認証済みの定款 | 定款認証後公証役場から発行された定款をコピーしたものを持参します。 |
会社実印の印鑑証明書 | 会社設立後に法務局より取得した原本を持参します。 |
会社実印 | |
銀行印 | 会社実印を銀行印として届出ることもできますが、銀行印と会社実印を分ける旅行会社が多いです。 |
銀行窓口で手続きを行う方の身分証明書 | 運転免許証や健康保険証などを持参します。 |
昨今は、振り込め詐欺や投資勧誘詐欺などに法人名義の口座を悪用されるのを未然に防止するため、法人名義の銀行口座開設が厳しくなっています。
口座開設には銀行の審査が必要なため、口座開設依頼を銀行窓口に提出してから1~2週間程度の時間がかかります。
ですので、会社設立の準備と並行して、口座開設を希望する銀行に足を運んで、必要書類や注意事項をあらかじめ聞いておいた方がよいでしょう。
なお、法人口座開設には税務署等への法人設立届を求められることがあります。そのため、先に税務署や都道府県税事務所で手続きを終えていないと、口座開設ができないことが多いのでご注意ください。
旅行会社設立に必要な諸費用
さて、以上の手続きと設立後の旅行業登録を念頭に、旅行会社設立にかかる諸費用を見てみましょう。
次の表は、ご自身で旅行会社設立の手続きを進めるにあたって、必要となる諸費用例を表にしたものです。
旅行会社設立時の資本金は、下記合計額を支払える額(同時に、前述の基準資産額をクリアする額)が目安となります。
この他に、実際旅行業を開業するとなると、会社設立直後からしばらくの運転資金が必要です。事業規模等を見直し、どうしても資金繰り的に不安があるようなら、開業資金を使ってしまう前に、公的機関からの融資等も検討しておきましょう。
会社設立(株式会社) | 約240,000円 ※ |
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会社実印の作成費用 | 約10,000円 |
営業保証金 | 3,000,000円 |
第3種旅行業登録の手数料(東京都) | 90,000円 |
本店営業所の賃貸借保証金 | 約500,000円 |
営業所賃料(開業までの2~3ヶ月) | 約300,000円 |
備品(パソコン、デスク、接客セット等) | 約500,000円 |
合計 | 約4,640,000円 |
※合同会社の場合は約100,000円 |
なお金額は、株式会社か合同会社か、資本金をいくらに設定するか、営業所とする賃貸物件の家賃はいくらか、営業保証金の供託を選択するか旅行業協会へ入会して弁済業務保証金分担金を納付するかなど、旅行会社を設立される方の状況等によって異なります。
初回の電話・メール相談は無料ですので、もし「私の場合はどうなるだろう?」と疑問に思われたときは、お電話・メールにて行政書士法人シグマまでご相談ください。
なお、旅行業の開業までには上記の旅行会社設立手続きを完了させた後、旅行業協会への入会や行政庁への旅行業登録が必要となります。この点は「徹底ガイド!旅行業登録の全体像」にまとめましたので、ご参照ください。