旅行業登録制度は、旅行業者様のお客様である旅行者を守るために存在する制度です。そのため、旅行者との取引の適正化を図るために、旅行業法では、旅行業者様が遵守しなければならない事項がいろいろと定められております。
観光庁や都道府県といった登録行政庁より登録通知書を受領すると旅行業者になることはできますが、法令に則った事業活動を行うためには注意すべきポイントがあります。
旅行業営業のための6つの準備
そこで、このページでは、登録通知書受領後に営業開始するまでの間に、旅行業者様が法令上行わなければならない準備について、その概要をお伝えしたいと思います。
1.営業保証金・弁済業務保証金分担金の納付とその届出
まず初めに、旅行業は、登録行政庁での登録完了をもって即営業開始とはならない点に注意が必要です。
旅行業協会に加入しない旅行業者様は法務局へ営業保証金の供託を行い、旅行業協会に関する旅行業者様は旅行業協会へ弁済業務保証金分担金の納付を行い、その後、登録行政庁へ営業保証金・弁済業務保証金分担金の納付が完了した旨の『届出書』の提出を行ってからではないと、営業を開始することはできません。
登録完了後すぐに営業を開始したいと思いますが、届出書が登録行政庁まで到達するまでは営業開始できない点に注意が必要です。
2.登録票の掲示
登録票は、旅行業と旅行業者代理業では別の標識が定められています。また、国内・海外旅行の両方を取扱う営業所は『青』色、国内旅行のみ取り扱う営業所は『白』色というように、その営業所の業務範囲によって掲示する標識が異なってきます。
登録票の掲示場所は、お客様が入店前又は入店直後に、「ここは旅行を取扱っている店だな」とわかるような場所に掲示しなければなりません。
出典:観光庁ホームページより
3.取扱料金の掲示
旅行業者様は、営業開始前にお客様から収受する料金を定め、これをお客様が見やすいように掲示しなければなりません。
お客様が見やすい場所とは、お客様が旅行を申込もうとするときに、その営業所の従業員に申し出ることなく、容易に見ることができる場所のことです。
取扱料金の定め方は、契約の書類や内容に応じて、定率・定額その他の方法で、旅行者に明確となるように定めればよく、貸切バスの料金のように法定料金が設定されているわけではありません。
なお、企画旅行のみを取扱う営業所は、この料金の掲示は不要です。
4.旅行業約款の掲示又は備え置き
旅行業者様は、お客様とのルールブックとなる約款を定めて登録行政庁より認可を受ける必要がありますが、国土交通大臣が公示した標準旅行業約款と同一の約款を使用する場合は、その約款は認可を受けたものとみなされます。
旅行業約款には、お客様の正当な利益を害しないこと、金銭収受や払い戻し、旅行業者様の責任関する事項などが記載されているため、お客様の見やすいように営業所内に掲示、又は、お客様が閲覧できるように営業所内に備え置き、のいずれかの方法を採らなければなりません。
また、他社の募集型企画旅行の代売を行う場合は、委託旅行業者の旅行業約款も掲示又は備え置く必要がありますのでご注意ください。
5.旅行業務取扱管理者証の交付
選任された旅行業務取扱管理者は、お客様である旅行者から請求があったときは、旅行業務取扱管理者証を提示しなければなりません。
従って、旅行業者様は、選任した管理者に対して、「旅行業務取扱管理者証」を作成して交付しなければなりません。
6.外務員証の交付
旅行業の外務員とは、営業所以外の場所で勤務している旅行業者様のために、旅行業務について取引を行う方のことを言います。
外務員がいる旅行業者様は、その外務員に「外務員証」を作成して交付しなければなりません。
なお、外務員は、営業所以外の場所で旅行業務を行うときは、お客様からの請求に有無に関わらず、外務員証を提示する必要があります。
一部は旅行業協会で購入することも可能
登録票、取扱料金表、旅行業務取扱管理者証、外務員証のフォーマットは、旅行業協会で購入することができます。購入は、旅行業協会へ加入していない旅行業者様でも可能ですが、販売価格は会員価格より割高になっています。
購入価格などの詳細については、お近くの旅行業協会へお問い合わせください。