新型コロナの影響を受けて旅行業登録の更新手続きで不安の方へ

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまおよび関係者の皆さま、影響を受けられた事業者さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご回復と、感染の収束をお祈りいたします。

多くの旅行会社さまは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、業績が悪化し事業の継続が難しい厳しい経営環境に直面しているかと思います。当面の運転資金については、複数の融資制度が設けられています。また、従業員が休職する際に活用できる助成金も設けられています。

業績が悪化した旅行会社さまが活用できる経営支援策は、旅行業協会(JATAANTA)や経済産業省のHPにまとめられたものが公表されています。

経営支援策を活用される際は、融資制度は顧問税理士に、従業員を休職させた際の助成金については顧問社労士に、それぞれ相談の上準備を進められると手続きが円滑に進むのではないでしょうか。

新型コロナウイルス影響を受けた際の旅行業登録の更新

2020年~2021年に旅行業登録の有効期限を迎えられる旅行会社さまにとっては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業績が悪化している状況で、旅行業登録の更新手続きができるのか不安を抱えられている方も多いのではないでしょうか。

更新手続きの救済措置はあるのか

2020年3月27日付で観光庁は旅行業協会や各都道府県旅行業担当課長に対して、2021年3月までの旅行業の更新登録申請手続きに対して、弾力的な対応するよう通達を出しました。

従って、旅行業登録の更新手続きに救済措置があります

具体的には、2021年3月までに旅行業登録有効期限の2か月前を迎える旅行業者に対しては、添付書類に不備があっても受理し受理後の審査の過程で補正で対応する旨、2020年2月以降の決算書を基に基準資産額を計算したところ、所要の基準資産額を下回っており、その原因が新型コロナウイルスの影響が下回った原因と認められる場合は、前々期(2期前)の決算書を使って基準資産額を計算することで更新手続きを受け付けるというものです。

詳細については、更新登録申請書類の提出先となる観光庁や都道府県の旅行業担当窓口に個別具体的に確認を行う必要があるでしょう。

また、第2種、第3種、地域限定旅行業者さんの登録行政庁となる都道府県の旅行業担当部署によっては、どこまで弾力的に取り扱うかは差が生じる可能性があります。

とはいえ、旅行業登録の更新手続きについて登録行政庁側が弾力的に対応することにはなりましたが、旅行業者さんは、有効期間の満了日2か月前までに旅行業登録の更新申請手続き自体は行わなければなりません。更新手続きを行わない場合は現在の登録の有効期限をもって廃業扱いになってしまいますのでご注意ください。

従いまして、基準資産額に不安のある旅行業者さんは、登録行政庁(観光庁や都道府県)に早めに相談して、今後の対応方について協議を進めましょう。

更新手続きの際の基準資産額

更新登録手続きの際にも、下記の金額以上の基準資産額を満たしている必要があります。

登録種別 基準資産額
第1種旅行業 7,000万円
第2種旅行業 1,100万円
第3種旅行業 300万円
地域限定旅行業 100万円

基準資産額の計算方法を知りたい方は、当法人の下記ホームページをご確認ください。

旅行業登録の更新手続きで失敗しない方法

基準資産額を計算する際は、更新登録申請書を提出する日の直近の決算書の数値を使います。

例えば、2020年7月1日に更新登録申請書を提出する場合

  • 3月決算の場合:2020年3月期の決算書の数値を使って計算
  • 9月決算の場合:2019年9月期の決算書の数値を使って計算

従って、決算期によって、7月1日に更新登録申請を行う際の基準資産額の計算の際に使用する決算書が1年ずれることになります。

2020年から2021年に旅行業登録の更新時期を迎えられる旅行会社さまは、まずは、更新手続きの際に何期目の決算書の数値を使って基準資産額を計算するのかの確認をしましょう。

更新登録手続きで使用する決算書が新型コロナウイルスの影響を受ける前の事業年度のものでしたら、基準資産額の観点からは、新型コロナウイルスでの業績悪化が原因で更新手続きできないということはないでしょう。

赤字であっても更新手続きはできます

旅行業登録の更新手続きで使用する決算書が新型コロナウイルスの影響を受けてしまい業績悪化した期になってしまい、さらに損益が赤字となってしまった場合はどうでしょうか。

実は、直近決算が赤字であっても更新手続きが出来ないわけではありません。

旅行業登録の更新手続きの際、基準資産額の計算には、貸借対照表(BS)に計上されている数値を使います。損益計算書(PL)の数値を使うわけではありません。

黒字か、赤字かは損益計算書上の話であって貸借対照表上の話ではありません。

「貸借対照表はフロー・損益計算書はストック」と言われるのですが、旅行業登録の更新手続きの際は、直近1年間にいくら儲けたかというフローを審査するわけではありません。会社設立後から直近決算期まで財務状況、ストックが審査の対象になります。

従って、新型コロナウイルスの影響を受ける前までは損益が黒字であり自己資本が充実している旅行会社さんであれば、直近決算期だけが赤字だからといって、それだけで旅行業登録の更新手続きができないというわけではありません。

※新型コロナウイルスの影響で大赤字になってしまい過去の内部留保を著しく減少してしまった場合は、前々期の決算書で更新手続きを進められないかを登録行政庁に確認してください。

流動資産に不良債権がある場合は注意が必要

流動資産の中に不良債権が含まれている場合は、基準資産額を計算する際には不良債権化した流動資産は控除する(引く)ことになります。

  • 売掛金
  • 未収金
  • 前払金
  • 前払費用
  • 立替金

などの貸借対照表の流動資産として計上されている科目の中に、取引先が倒産などで回収できない債権は基準資産額を計算する際は「ノーカウント」になります。

顧客や送客先も新型コロナウイルスの影響を受けて経営状況が大幅に悪化している場合、回収できる債権は可能な限り早めに回収した方が旅行業登録の更新手続きの際の影響を最小限に留めることができます。

資産を増やすか、負債を減らすか

直近の決算書から基準資産額を計算したところ所要の基準資産額を満たさない場合は、以下のいずれかの方法で基準資産額を満たす方法を検討するのが一般的です。

  1. 資産を増やす(資本金を増やす)
  2. 負債を減らす(借入金を返済する)
  3. 資産を増やしながら、負債を減らす

債務を株式化するDES(デット・エクイティ・スワップ)を活用することで旅行会社の財務体質を改善させて基準資産額を満たす方法もあります。

とはいえ、DESを利用した財務体質の改善には最終的には法務局への登記申請が必要であり、メリット・デメリットがあります。専門家の知識が必要になりますので、DESを検討される際はまず初めに顧問税理士に相談した方がよいでしょう。

新型コロナウイルスの影響を受けられている旅行会社さんの中には、直近数か月の運転資金が足りないという話も耳にしております。

こういう状況ですので、政府が準備した制度を活用して資金を借り入れることは否定いたしません。

日本政策金融公庫などの金融機関から借入をすると負債が増えることになりますので、基準資産額にはマイナスの影響がどうしても出てしまいます。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は国難という事態になっていますので、一社でも多くの会社を継続して生き延びて欲しいと考えています。

とはいえ、借入をすることで基準資産額にどのような影響になるかは、旅行会社の経営者は理解をしておいた方がよいでしょう。金融機関から資金の借り入れの申し込みをする前に月次貸借対照表の数値をもとに、借入前と借入後の基準資産額の比較を必ず行ってください。

登録種別の変更も会社継続の選択肢になります

旅行業登録の更新手続きを近々に控えて基準資産額を満たしていないことが判明した場合、まずは、資本を増やせないか、負債を減らせないかの検討しましょう。

この検討は、旅行業更新手続きに使用する決算書の期中に行うことをお勧めします。と申しますのは、決算期を迎えてしまうと、基準資産額を増やす方法の選択肢が、期中に行うときよりも大幅に減ってしまうからです。

旅行サービス手配業への変更

インバウンド(訪日旅行)専門の旅行会社さんの中には、旅行会社からの依頼を受けて、日本国内の宿泊施設・運送機関・免税店・ツアーガイドの手配を行うランドオペレーター業しか行われていないのに、第2種旅行業や第3種旅行業の登録を取得されている事業者さんをお見受けします。

ランドオペレーター業のみを行うのであれば、旅行サービス手配業の登録を取得すれば、新型コロナウイルスが終息後も事業を継続することができます。

旅行サービス手配業登録の際は基準資産額の要件はありませんので、旅行業登録の基準資産額を満たしていない場合でも、旅行サービス手配業の登録を取得することが可能です。

一つ下の登録種別への変更

海外への募集型企画旅行の主催を行われていないのに第1種旅行業登録を取得されている旅行会社さんは、第2種旅行業への登録変更を検討されてみてはいかがでしょうか。

さらに、国内全域の募集型企画旅行の主催を行われていないのに第2種旅行業登録を取得されている旅行会社さんは、第3種旅行業への登録変更を検討されてみてはいかがでしょうか。

登録種別を一つ落とすことで、取扱旅行商品の幅は狭まりますが、基準資産額の要件はクリアーしやすくなると考えます。

登録種別を変更する際のポイント

旅行サービス手配業への変更の場合は、旅行サービス手配業の登録取得後に、現在持っている旅行業登録の廃止届出手続きを行いますが、第1種から第2種へ、第2種から第3種への登録種別の変更の場合、原則、現在有効の旅行業登録の有効期限の2か月前までに、変更登録の手続きを完了させなければなりません。

とはいえ、国難ともいえる新型コロナウイルス感染症の影響を受けての登録種別の変更であれば、登録行政庁によっては変更登録申請手続きのスケジュールに関して融通を利かせて頂けることも考えられるので、登録種別の変更手続きを進める際は、個別具体的に申請先の登録行政庁と相談をしながら進めて頂ければと思います。

基準資産額の計算方法に不安がある方へ

基準資産額の計算方法に不安がある旅行会社さんは、申請先の登録行政庁(観光庁や都道府県)にご相談頂くか、当法人が提供しております基準資産額チェックサービス(有料)のご利用をご検討頂ければ幸いです。

更新登録の際の基準資産額が不安な旅行会社様へ

まずはお電話・メールにて、旅行業起業や旅行業登録の手続きに関するお悩みをお聞かせください。

直接のコンサルティングに進む際は、都庁前オフィス、武蔵小杉オフィスまたはZoomにて承ります。

直接相談の後、旅行業登録や旅行会社設立の代行をご希望の方は、業務お申込後に着手いたします。

電話でのご相談

お電話でのご相談の際は、適切な担当者・回答内容となるよう、お名前、会社名、電話番号、相談されたい許認可の内容についてヒアリングさせていただいております。

メールでのご相談  

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