旅行業登録を専門としております、行政書士法人シグマです。
2025年12月の全国旅行業協会(ANTA)東京都支部の入会審査スケジュールが公表されました。締切日は事務局窓口が混雑しますので、余裕をもった書類提出スケジュールを確保しましょう。
2025年12月の入会審査スケジュール
- 入会書類の提出期限 2025年12月11日木曜日まで
- 入会審査開催日 2025年12月19日金曜日 ※申込者多数の場合は22日月曜日に追加開催予定
- 本部常任理事会の入会承認 2026年1月15日木曜日
このスケジュールで入会審査が進行した場合、2026年1月下旬頃に、ANTA入会審査手続きが完了し、東京都への旅行業登録申請へ進めることになります。入会審査を円滑に進めるためには、入会書類を不備なく準備することがポイントです。「とりあえず出す」では、入会書類は受付にはならずに返却されてしまいます。ANTA入会書類は、東京都の旅行業登録申請と同じレベルの精度が要求されますので、不備・不足が生じないように気を付けてください。
既存の旅行業者様の旅行業協会入会手続き
最近は、既存の旅行業者様より旅行業協会入会についてのお問合せをよくいただいております。
そこで、このページでは既存の旅行会社様がANTA(全国旅行業協会)へ入会する際の財務的影響について、旅行業登録専門家の視点から詳しく解説いたします。
協会未加入の既存旅行会社様の中には、入会金や年会費といった「コスト」を懸念し、営業保証金(例:第2種旅行業で1,100万円)を法務局に供託したままのケースが散見されます。
しかし、その判断は財務戦略上、大きな機会損失となっている可能性があります。協会入会は単なる「経費」ではなく、明確な「リターン」を伴う財務戦略です。
1. 【現在】初年度コストを遥かに凌駕する「資金回収メリット」
まず、旅行業協会の正会員(保証社員)となることで「営業保証金」の供託に代わり、「弁済業務保証金分担金」制度(営業保証金の5分の1の額)が適用されます。
- 第2種旅行業: 1,100万円(営業保証金) → 220万円(分担金)
- 第3種旅行業: 300万円(営業保証金) → 60万円(分担金)
ここで、ANTA東京都支部の入会に必要なコスト(※第2種・第3種旅行業)を確認します。
- 入会金: 800,000円(第2種・第3種旅行業)
- 年会費: 71,000円(第2種旅行業)、61,000円(第3種旅行業)
例えば、第2種旅行業の場合、確かに、初年度に約87万円の支出は伴います。 しかし、法務局からの供託金を取り戻した場合は、営業保証金との差額は、年間取引額が7億未満の場合は、880万円(1,100万円 – 220万円)です。
8,800,000円(取戻し額) – 871,000円(初年度コスト) = 7,929,000円
上記計算の通り、初年度のコストを差し引いても、800万円弱の余剰キャッシュフローが即時に創出されます。この資金を運転資金や新規事業投資に振り向ける財務的インパクトは計り知れません。
2. 【将来】事業拡大時の「追加財務負担」の軽減メリット
次に、年会費を支払い続ける「将来」のメリットについてです。
旅行業法は、事業年度の取引額が第2種は7億円以上に、第3種は2億円以上になった場合、事業年度終了後100日以内に*「営業保証金の追加供託」を義務付けています。
仮に、第2種の年間取引額が8億円となった場合、協会「未加盟」の事業者は、200万円もの追加供託が新たに必要となる試算です。事業が好調であるほど、手元のキャッシュが法務局に固定化されていきます。
一方、ANTA会員であれば、この「追加」で納付する金額も「5分の1」で済みます。 同ケースでも、納付額は80万円(400万円の1/5)です。
年会費は、将来の事業拡大に伴う財務負担を数百分の一に抑制するための、極めて合理的な「リスクヘッジ費用」と評価できます。
最大の課題:厳格な「入会スケジュール」
ここまでの財務メリットは、あくまで「ANTAへの入会手続きが完了すること」が前提です。そして、この手続きこそが最大の経営リスクを内包しています。
ANTA東京都支部が公開する入会手続きの流れは、スケジュールが厳格に運用されています。入会書類が揃わない場合や、そもそも入会基準を満たしていない場合は、入会書類は受理されなく、入会審査を受けることすらできないのです。
もし、2025年12月の入会審査を受けられない場合は、2026年2月に開催予定の入会審査を受けることになるため、入会手続きだめでも2カ月遅れになってしまうのです。
専門家への依頼は「機会損失」を防ぐ経営判断
既存事業者の入会審査では、財務諸表の健全性や事業計画の妥当性も確認されます。経営者ご自身が本業の傍らでこれらの書類を準備し、万が一、不備や解釈の相違によって締切に1日でも遅れた場合、入会は次回以降となり、約800万円の資金回収も遅延します。
これは、回収できたはずの資金の「機会損失」(金利負担や投資機会の逸失)に他なりません。
ANTA・行政庁(都庁等)・法務局という3機関が連動する複雑な手続きを、遅滞なく実行し、最短での資金回収(リターン確定)を実現するには、旅行業の許認可と協会実務に精通した専門家の知見が不可欠です。
専門家への依頼費用は、この「手続きの遅延(数百万単位の機会損失)」を防ぎ、確実性を担保するための、最も合理的な経営判断であると結論付けられます。




















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