観光庁ではユニバーサルツーリズムを、すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行と定義しております。
観光庁では、旅行者の訪問地域の受入体制強化を進めたり、ユニバーサルツーリズム商品の造成・普及のために実証事業を行うなどの、ユニバーサルツーリズム普及・促進を図る事業を各年度ごと実施されております。
ユニバーサルツーリズムについて(観光庁のHP)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/manyuaru.html
ユニバーサルツーリズムと旅行業登録
観光庁の取組は上記URLに取りまとめられておりますが、ユニバーサルツーリズムを事業として取り組むためには、旅行業法に基づく許認可を取得しなければならないケースがあります。
旅行者やその家族から依頼を受けて、館内施設がバリアフリーに対応している宿泊施設や、介護タクシーやリフト付きバスといった運送機関を手配する場合は、『旅行業』の登録が必要になります。
旅行業登録には、取扱旅行商品の違いにより、第1種・第2種・第3種・地域限定旅行業に分かれます。
ユニバーサルツーリズムは、一般的にパッケージツアーと呼ばれる募集型企画旅行での取扱は難しいと言われております。ユニバーサルツーリズム商品の多くは、受注型企画旅行や手配旅行として取扱われております。この受注型企画旅行と手配旅行を取り扱うためには、第3種旅行業もしくは地域限定旅行業のいずれかの許認可を取得する必要があります。
第3種旅行業と地域限定旅行業の違い
第3種旅行業は、旅行者の発地側で、旅行者から要望をヒアリングして、バリアフリーに対応している宿泊施設や運送機関を手配する際に必要な許認可となります。一方で、地域限定旅行業は、旅行者の着地側で、宿泊施設や運送機関を手配する際に必要な許認可となります。
地域限定旅行業は、許認可を取得する際の条件となるお金(基準資産額)と人(旅行業務取扱管理者の選任)の条件が、他の旅行業登録の種別と比較すると緩和がされています。その反面で、取扱可能な旅行商品の地域に制限がかかっております。
地域限定旅行業者は、自社の旅行業に関する営業所のある市町村(特別区を含む)、これに隣接する市町村(特別区を含む)及び観光庁長官の定める区域の区域内に、旅行者の出発地・目的地・宿泊地・帰着地のすべてが収まっている旅行商品のみ取扱可能になっています。
例えば、熱海市内に地域限定旅行業の営業所を置いた場合は、その旅行会社が取扱可能なユニバーサルツーリズム旅行商品は、熱海市と熱海市に隣接している伊東市・伊豆の国市・函南町・湯河原町(神奈川県)、そして、熱海港から一般旅客定期航路事業の船舶が発着している大島町(東京都)となります。これらの地域に旅行者の出発地・目的地・宿泊地・帰着地のすべてが収まっているユニバーサルツーリズム旅行商品であれば取扱ことが可能です。旅行者にはご自宅から熱海周辺までの交通機関はご自身で手配して頂く必要があります。
旅行者の自宅から旅行先までの交通機関も手配したい、旅行者の訪問先の地域を日本全国にしたいという場合は、地域限定旅行業ではなく、第3種旅行業登録の取得必要になります。
第3種旅行業登録を取得していれば、日本全国を発地・着地とするユニバーサルツーリズム旅行商品を受注型企画旅行・手配旅行として取扱うことが可能になります。
旅行会社から依頼を受けて手配をする場合
日本国内の旅行会社や海外の旅行会社から依頼を受けてバリアーフリー対応の宿泊施設や運送機関を手配をし、手数料を得る事業を行う場合は、旅行サービス手配業登録と呼ばれる許認可を取得する必要があります。
旅行業界の中では、ランドオペレーターやツアーオペレーターと呼ばれる事業ですが、旅行者の訪問地のバリアフリー状況について詳しい事業者が、旅行者の発地にある旅行会社から依頼を受けて、旅行者の状況に応じた宿泊施設や運送機関の手配・予約をする場合、旅行サービス手配業の登録が必要になります。
日本各地にあるバリアフリーツアーセンターなどが、旅行会社から依頼を受けて宿泊施設や運送機関を手配・予約し、その手間賃として収入を得る場合は、旅行サービス手配業登録を取得すればこのビジネスモデルを実現することが可能です。
とはいえ、旅行サービス手配業は手配の依頼者となるお客様は旅行会社に限定されてしまいます。旅行会社ではなく旅行者から直接依頼を受けて宿泊施設や運送機関を手配する場合は、旅行サービス手配業ではなく、第3種旅行業や地域限定旅行業の登録が必要になります。旅行サービス手配業者が、旅行者から依頼を受けてユニバーサル旅行の手配を行ってしまうと、旅行業法違反になってしまうので注意が必要です。
飲食店やアクティビティの手配をする場合
車いすで利用可能な飲食店やアクティビティを手配する場合、旅行業に関する許認可を取得する必要はありません。車いすのレンタルや車いすが乗車可能なレンタカーを手配する場合も同様です。しかし、宿泊施設や運送機関とあわせてこれらの手配を行う場合は、旅行業法に抵触するため、旅行業に関する許認可を取得する必要がありますのでご注意ください。
観光行政を専門としている行政書士法人シグマでは、ユニバーサルツーリズム商品を企画・販売するために必要な旅行業や旅行サービス手配業の取得手続きの代行とそのコンサルティングを行っております。これからユニバーサルツーリズム旅行商品を取扱われたい事業者様は一度ご相談ください。