第1種旅行業、第2種旅行業、第3種旅行業、地域限定旅行業を取得されている事業者さんが旅行事業を廃止された際は、事業を廃止したときから30日以内に、登録行政庁に対して、事業廃止届出書の提出が必要となります。
旅行業登録種別による窓口の違い
事業廃止届出書の提出先は、第1種旅行業者さんの場合は主たる営業所を管轄する地方運輸局の旅行業担当窓口となり、第2種・第3種・地域限定旅行業者さんの場合は主たる営業所を管轄する都道府県の旅行業担当窓口となります。
例えば主たる営業所を東京都内に置かれている旅行業者さんの場合、第1種旅行業の場合は関東運輸局が、第2種・第3種・地域限定旅行業の場合は東京都庁が、旅行業廃止の担当窓口になります。
旅行業者さんは、旅行者との取引額に応じた営業保証金の供託もしくは弁済業務保証金分担金の納付を行われておりますので、旅行業を廃業した際には、営業保証金・弁済業務保証金分担金の取戻し手続きを進めることになります。旅行者から債権の申し立てがなければ営業保証金・弁済業務保証金分担金の全額を取り戻すことができますが、旅行者さんから債権の申し立てがあれば全額の取戻しはできません。
営業保証金の取戻しと事業廃止届出書の提出
とはいえ、この取戻し手続きを進めるためには、まずは、登録行政庁へ事業廃止届出書の提出を行う必要があります。登録行政庁へ事業廃止届出書を提出した後の手続きの流れは、旅行業協会の保証会員となっている旅行業者さんと旅行業協会に未加入の旅行業者さんでは異なっています。
旅行業協会保証会員の旅行業者さんの場合は、登録行政庁から発行された登録抹消通知書を旅行業協会へ提出をすることで、旅行者からの認証の申出手続きが開始となります。
一方で、旅行業協会には未加入で法務局に営業保証金を供託されている旅行業者さんの場合は、取戻しまでの手続きが複雑になっております。
営業保証金取戻し手続きの流れ(旅行業協会に未加入の場合)
- 事業廃止届出書の提出
- 旅行業登録抹消通知書の受取
- 官報掲載の手配(営業保証金取戻公告)
- 官報掲載の確認
- 旅行業者営業保証金取戻公告済届出書の提出
- 証明書交付申請書の提出
- 証明書の受取
- 法務局での営業保証金取戻手続き
官報へ営業保証金の取戻公告を掲載
旅行業協会に未加入の旅行業者さんが営業保証金の取戻手続きでは、取引のあった旅行者へ旅行事業を廃止したことを周知するために、官報へ営業保証金の取戻公告を掲載する必要があります。旅行者との取引がない旅行業者さんであっても、官報への公告手続きは省略することはできません。
ご参考までに、官報掲載する内容は次の項目です。
官報への掲載内容
- 商号
- 旅行業の業務の範囲(変更登録を受けた場合にあっては、変更登録前の旅行業の業務の範囲)
- 登録番号
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 主たる営業所の名称及び所在地
- 旅行業の登録年月日
- 登録の抹消年月日
- 営業保証金の額
- 申出書提出先
- 掲載者の住所、名称又は氏名並びに法人にあってはその代表者の氏名
官報に掲載する内容は、登録簿の内容と相違があると訂正公告又は再公告が必要となりますのでご注意ください。
官報への掲載日に営業保証金の取戻公告の掲載を確認したら、登録行政庁に公告したことを報告しなければなりません。この際に、官報掲載紙の該当部分のコピーを登録行政庁へ提出するため、官報掲載紙は最低1部は手元に残しておく必要があります。
周知期間経過後に営業保証金の取戻しが可能
官報への掲載が完了してすぐには営業保証金は取り戻すことはできません。旅行者への周知期間として掲載日翌日から6ヶ月を待つ必要があります。裏を返せば、官報掲載日の翌日から6か月を経過して、旅行者から債権の申し立てがなければ、登録行政庁から証明書を取得できれば、供託済みの営業保証金を全額取り戻すことができるのです。
旅行業の営業保証金制度は旅行者を保護するための制度のため、旅行業者さんが廃業したときであっても、旅行者を保護するために、複雑な手続きとなっております。
行政書士法人シグマでは、旅行業から撤退される事業者さんの事業廃止手続きのサポートを行っております。当法人のサポートをご希望でしたら、電話もしくはお問い合わせフォームより、ご相談をお寄せください。