吸収合併により旅行業登録は承継できるのか

旅行業者ではない会社が吸収合併により、消滅する会社が取得している旅行業登録を承継したいというご相談をよく頂きます。

吸収合併により旅行業登録は当然に承継されるのか?

吸収合併は、『会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるもの』と会社法では定義されています。

『権利義務の全部を承継させる』ものですから、旅行業登録も当然のように承継できると思われている方が多いようにお見受けいたします。

しかしながら、吸収合併をしたとしても、合併後存続する会社は、旅行業登録を承継することはできないのです。

吸収合併後も旅行業を経営するためには

それでは、吸収合併存続会社が合併期日以降に、吸収合併消滅会社が経営していた旅行業を経営するためにはどのようにすればよいのでしょうか。

結論は、吸収合併期日までに、吸収合併存続会社が旅行業登録を新規で取得する方法しかないのです。吸収合併存続会社が新規登録申請を行うためには、通常の新規登録申請と比較して、次の点について注意が必要だと考えます。

  1. 登録取得までのスケジュール管理
  2. 旅行業務取扱管理者の確保

旅行業登録取得までのスケジュール管理

一点目のスケジュールについてですが、合併期日以降も、営業できない期間を空けずに旅行業を継続するためには、吸収合併存続会社が合併期日より前に、旅行業登録を取得し、営業保証金の供託(旅行業協会へ入会する場合は弁済業務保証金分担金の振込)を終えて、登録行政庁へ届出手続きまで完了させておく必要があります。

旅行業登録は、登録行政庁へ申請書を提出したらその日から営業できる許認可ではなく、登録行政庁において審査を経て登録を取得できる許認可です。東京都が登録行政庁の場合は概ね30~40日が、観光庁が登録行政庁である第一種旅行業の場合は概ね2か月が審査期間となります。審査期間は登録行政庁の事務処理スピードによって前後しますので、合併期日から逆算して、余裕をもったスケジュールで登録申請を進めましょう。

また、旅行業協会への入会を希望される吸収合併存続会社の場合は、登録行政庁への登録申請に先立って、旅行業協会への入会手続きを進めておく必要もあります。

2つある旅行業協会のうち、日本旅行業協会(JATA)の入会審査は随時受付をしておりますが、全国旅行業協会(ANTA)の入会審査は概ね2か月に1回の頻度で開催されています。ANTAの直近入会審査スケジュールにて旅行業登録取得を進めた場合、合併期日までに旅行業登録取得手続きの全てを完了できるのどうかは、合併スケジュールを検討する上で大切なポイントと言えるでしょう。

旅行業務取扱管理者の確保

二点目の旅行業務取扱管理者についてです。

旅行業登録は許認可であるため、旅行業法令で定められている基準、登録要件を満たした会社のみが取得できます。これは吸収合併手続きであっても特例はありません。

従ってお金の要件である基準資産額は、直近決算期時点で満たしているかの確認が必須になってきます。

そして、意外と忘れやすいのが、吸収合併存続会社での旅行業務取扱管理者をどなたを選任するかという点です。

旅行業務取扱管理者は、常勤・専従性が求められます。従って、吸収合併消滅会社の旅行業務取扱管理者を、吸収合併期日前に、吸収合併存続会社の旅行業務取扱管理者とすることは原則できません。

例えば、吸収合併消滅会社においてAさんという方を旅行業務取扱管理者として選任している場合は、Aさんは、合併期日までは吸収合併消滅会社の旅行業務取扱管理者となるため、他の旅行業者の旅行業務取扱管理者として選任することはできません。従って、Aさん以外の旅行業務取扱管理者試験合格者の方を、旅行業務取扱管理者として選任する必要があります。

Aさんを旅行業務取扱管理者としたい場合は、合併期日以降であれば、旅行業務取扱管理者として選任することが可能になります。合併期日において、吸収合併消滅会社は「消滅」するからです。

事業の廃止等の届出

吸収合併消滅会社は合併期日において「消滅」するため、旅行業登録については何もしなくてよいのでしょうか。

吸収合併消滅会社は、登録行政庁に対して、事業の廃止等の届出手続きを行う必要があります。この届出は、吸収合併期日より30日以内に、吸収合併消滅会社の業務を執行する役員であった者が行わなければなりません。

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