2019年6月7日に成立した成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(令和元年法律第37号)が、2019年9月14日より施行になりました。
欠格条項削除法と旅行業
マスコミでは欠格条項削除法として報じられた改正であり、成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定を設けている各制度について、心身の故障等の状況を個別的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する個別審査規程が設けられることとなりました。
旅行業法などの改正
その結果、旅行業法では、第6条に規定する欠格条項において成年被後見人等を引用している箇所があるため、本改正の対象となり、旅行業法・旅行業法施行規則の改正が行われ、2019年9月14日より施行されております。
旅行会社の許認可法務に係る影響は、申請時に提出している宣誓書の様式に変更が生じているのが大きな変更点と言えるでしょう。また、旅行サービス手配業者及び旅行業者代理業者を対象に、経営者が心身の故障により認知等が適切に行うことができない場合に関する届出規定が新設されました。
旅行業登録における宣誓書の様式変更
法改正に伴い、旅行業・旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録申請の際に提出している、取締役・監査役・旅行業務取扱管理者が自署し登録行政庁へ提出していた「欠格事項に該当しない旨の宣誓書」の記載が一部変更になりました。
新しい宣誓書は赤枠で囲った箇所が変更になっています。お手元にある宣誓書に「成年被後見人若しくは被保佐人」と記載がある場合は改正前の宣誓書の様式になりますので差し替えが必要です。
新しい宣誓書の様式は、登録行政庁(観光庁・都道府県)、日本旅行業協会(JATA)のホームページからダウンロードできます。
なお、本改正は9月14日に施行されているため、改正前の宣誓書の様式を申請時に提出した場合、宣誓書の差し替えが必要になります。海外在住者が役員に就任している場合や、社外役員を選任している旅行会社さんの場合は、簡単に宣誓書の差し替えができないと思います。宣誓書の様式が最新のものかご確認の上、宣誓書への自署をご依頼ください。
心身の故障により認知等を適切に行うことができない状態となった場合の届出
有効期間の更新手続きがない旅行サービス手配業者・旅行業者代理業者は、心身の故障により認知等を適切に行うことができなくなった場合、登録行政庁である都道府県に対して、届出を行う規定が設けられました。
届出を行うのは、個人事業主の場合はその本人が、法人の場合は取締役・監査役が、精神の障害を有することにより認知・判断及び意思疎通を適切に行うことができない状態となった時です。
登録行政庁への届出の際には、病名・障害の程度・病因、病後の経過、治癒の見込みその他参考となる所見が記載された医師の診断書が添付書面になります。