旅行業登録について訊く


旅行会社の経営に必要な許認可である旅行業登録・旅行サービス手配業。この分野は観光法務と呼ばれていますが、本日は、観光法務の専門家集団である行政書士法人シグマ代表の阪本氏にお話を伺います。

本日はよろしくお願い致します。

阪本:こちらこそ、よろしくお願い致します。

まずはじめに、行政書士法人シグマさんでは、旅行会社の経営に必要な許認可手続きを専門とされていますが、具体的にどのような許認可を取り扱われているのですか?

阪本:旅行会社の経営には、取扱う旅行商品や事業内容によって、必要な許認可が異なってきます。大きく分けて旅行業登録、旅行サービス手配業、旅行業者代理業の3つに分類されるのですが、さらに旅行業登録には、第1種、第2種、第3種、地域限定と4つに分類されています。これらの許認可から事業者さんがビジネスモデルに合った許認可を提案したり、行政機関への新規取得手続きや更新手続き、変更届出手続きの代行を承っています。

更新手続きがあるのですか?

阪本:旅行サービス手配業、旅行業者代理業には有効期間の定めはないのですが、第1種、第2種、第3種、地域限定旅行業の有効期間は5年の定められているため、有効期間経過後も旅行会社を経営したい場合は、更新手続きを行う必要があります。

シグマさんでは、行政機関へ提出する書類作成を代行なさっているのですよね。

阪本:行政機関へ提出する書類作成の代行も行っておりますが、実はそれは我々の業務の中心ではありません。書類作成代行は業務全体の2割くらいのボリュームでしょうか。許認可を取得するためには、事業者さんがクリアーしなければならない条件があります。それは旅行業の世界では登録要件と呼ばれるのですが、大きく分けると「人」「物」「お金」の3つの条件を整えないと旅行会社を経営するための許認可を取得することができないのです。

申請書を書いて行政機関へ提出すれば、誰でも旅行会社を経営することができる訳ではないのですね。

阪本:そうなのです。この登録要件を整えるのがなかなか大変で・・・。営業毎に一定の資格を持った管理者を確保できるのか、基準資産額がいくらなのか、営業所の使用権限は問題ないのかといったなどの条件を、事業者さんが満たしているのか、満たしていない場合はどのようにすれば満たすことができるのかといった、コンサルティングをシグマでは行っております。登録を出すのは私どもではなく、観光庁や都道府県といった行政機関のため、判定が微妙なケースは、行政機関と事前協議を行うなどして、登録要件を整えていきます。

登録要件を調整するだけでも大変な作業ですね。

阪本:開業時期が決まっていたり、旅行業協会へ入会してから旅行業申請を行う場合は、登録要件を取り纏めて申請書を提出して審査のテーブルに載せなければ時期というのがありますので、業務進行のスケジュール管理も私どもの重要な役割です。

手続き全体の進行管理までシグマさんではやられているのですね。登録を出す・出さないは行政機関の判断になりますので、シグマさんが関与すると審査期間が早くなったりするのですか?

阪本:我々が関与したからといっても、例えば1ヶ月かかる審査期間を1週間に短縮することはできません。とはいえ、精度の高い申請書類を行政機関に提出することで、審査期間を長期化することを防ぐことは可能です。観光庁や都道府県の担当官が審査しやすいようにと、必要書類一覧には記載されていない書類を提出することも私どもではあります。

戦略的に申請手続きをデザインされているのですね。

阪本:シグマ以外の行政書士事務所には、行政機関が作成した手引きを渡して、「ここに書いてある書類を集めて来て」とだけ事業者さんに案内して、集まった書類から申請書類を代書するだけの事務所もあると耳にしています。このようなケースですと、登録要件の調整が不十分だと書類を揃えて提出しても登録は取得できませんし、登録要件が偶然整っている場合でも申請書類の提出は事業者さん自らが行われなければならないです。

シグマさんでは、申請書類の提出は事業者さんがやられているのですか?

阪本:申請先が東京都の場合は、申請ルール上、行政書士の申請代理が認められていないため、事業者さんと私どもが都庁へ一緒に出向きます。申請書提出の際に東京都の担当官と面談があるのですが、我々が同席することにより頼もしいという感想を頂いております。観光庁や神奈川県といった行政書士が申請代理可能な行政機関へは、私どもが申請書類の提出や登録通知書の受領を代理しております。

専門家が行政機関との窓口に立っていただけると、頼もしいですね。シグマさんの観光法務サービスはかなり手厚い印象を受けました。他の行政書士事務所さんと比較するとシグマさんの報酬額が高めなのは、書類作成の代行業務以外の部分で、手厚いサービスをいくつも提供されているからなのですね。

阪本:旅行業の手続きで失敗したくない事業者様に、私どもを選んで頂いております。

具体的には、どのような事業者様からのご依頼が多いのですか?

阪本:旅行サービス手配業登録申請手続きは個人事業主の方からのご依頼を頂くことがあるのですが、旅行業登録申請や旅行業者代理業申請手続きは、法人様のみからご依頼頂いております。

法人様の事業規模はいかがですか?

阪本:旅行会社に勤務されていた方が起業されるスタートアップ企業から、上場企業様や上場企業の子会社様、外資系企業様まで、様々な事業規模のお客様に、当法人の旅行業登録申請サービスをご利用頂いております。事業規模の大きめの事業者さんからのご依頼も多数あるため、第1種旅行業登録の実績が複数ある珍しい行政書士事務所です。

シグマさんでは、様々な規模の事業者さんの旅行業申請手続きの実績があるのですね。

阪本:旅行業登録申請手続きは、建設業許可申請や宅建業免許申請と比較するとマイナーな行政手続きのため、申請方法が解説された書籍もなく、申請の手引きも充実していません。また、旅行業協会が登録申請手続きに関係する場合は、申請窓口も複数になるので、手続きがどうしても複雑になってしまいます。旅行業申請手続きの分野でも、お悩みごと・お困りごとがありましたら、許認可手続きの専門家である行政書士をご活用頂けると嬉しいです。

本日はありがとうございました。

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