旅行業登録と同時に旅行業協会の保証社員となる予定の申請者さんは、観光庁や都道府県への旅行業登録申請書を提出する前に、旅行業協会への入会審査を終わらせておく必要があります。
日本旅行業協会(JATA)の入会審査は随時受付が行われており、JATAが入会申請書類を受理した後、少なくとも2週間程度の審査期間を要します。
一方、全国旅行業協会(ANTA)の入会審査は、ANTAの入会審査が2か月毎にしか行われないため、申請者さんが、ANTA側が定めた入会審査スケジュールにあわせて動く必要があります。
そしてANTAの入会審査は、都道府県毎に設置されている支部で行われており、入会審査スケジュールは都道府県ごとによって異なってきます。
2024年12月の全国旅行業協会(ANTA)東京都支部の入会スケジュール
主たる営業所を東京都内に置かれる申請者さんの中で、旅行業登録と当時に全国旅行業協会(ANTA)の保証社員になることを予定されている場合は、ANTA東京都支部での入会審査を受けることになります。2024年12月の入会スケジュールは次の通りです。
- 入会書類の提出期限 2024年12月12日(木)まで
- 入会審査日 2024年12月20日(金)※予備日は12月23日(月)
- 入会承認書受領時期 2025年1月下旬
入会審査日は、ANTA東京都支部の事務局へ申請者の代表者と管理者が出向く必要があります。
昨今は、入会希望者が増えており、予備日も追加開催されることもあるため、12月20日と23日の両日は、入会審査を受けられるように他の予定はブロックしておいた方がよさそうです。
2024年12月の入会審査を受けられた場合、ANTA本部の常任理事会が2025年1月16日に開催予定のため、入会承認書は1月下旬頃に申請者さんの手元に届く見込みです。
入会承認書受領後に東京都への旅行業登録申請書の提出となるため、旅行業登録は2月下旬頃、旅行業の営業開始は3月中旬頃になる見込みです。
全国旅行業協会(ANTA)入会申請に必要な書類
ANTA東京都支部への入会を希望される申請者さんは、ANTAホームページ上で、ANTAの事業内容、入会金・年会費・定款・入会規則を確認の上、入会申請に必要な書類の準備を進めることになります。
入会申請には、次のような書類が必要になります。
- 入会申込書
- 誓約書
- 現況調査表
- 旅行部門従業者名簿
- 代表者の履歴書
- 代表者以外の役員全員の履歴書
- 旅行業担当責任者の履歴書
- 定款
- 履歴事項全部証明書
- 事業の計画
- 組織図
- 旅行業務取扱管理者選任一覧表
- 旅行業務取扱管理者の履歴書
- 旅行業務取扱管理者合格証(写し)
- 事故処理体制の説明書
- 法人税確定申告書(決算報告書・勘定科目内訳書を含む)
上記書類の他に、状況に応じて、追加書類の提出を要求されることがあります。
入会申請書類には様々な書類が必要になります。申請者さんの中には、A4一枚の申込書を提出すればよいと勘違いされている方もいらっしゃいますが、そうではありません。
それでは、これらのANTAへの入会書類を、行政手続きの専門家である行政書士の支援を受けないで準備することはできるのでしょうか。
穴埋めすれば申請書類が完成するわけではない
旅行業登録申請書類や旅行業協会入会書類の準備は、「書類の穴埋めだから難しくない。自力でできる」という意見があります。
書類の書き方を都道府県や旅行業協会の窓口に聞きながら作成して、書類を提出したら不備を指摘されて、それを修正して、再提出したら別の不備を指摘されてそれを修正して・・・、という過程を経れば、行政書士に依頼しなくても自力でできると思います。
ただ、私どもが窓口に伺った際に、申請者さんが謎理論を振りかざして、行政機関や旅行業協会の窓口で、「何を仰られているのかさっぱりわかりません」とばっさり切られている光景をよく見ます。
そもそも、旅行業登録は営業ライセンスのため、旅行業法で定められている条件を満たした申請者さんが、旅行業登録を取得できるものです。書類の穴埋めをして提出すれば誰でも登録を取得できる性質のものではありません。
旅行業登録手続きで失敗している申請者さんは、「旅行業務取扱管理者」「営業所」「基準資産額」を満たすことができずに、手続きが中断している印象を受けています。
手続きのスケジュール管理、段取りが重要
旅行業登録申請は、営業開始までのスケジュール管理が重要になると私どもでは考えております。
流れで手続きを進めることもできますが、昨今は、東京都の旅行業登録申請の予約が取りずらい状況が続いているため、段取りよく手続きを進めないと、次の手続きまで待機する期間ができてしまいます。
旅行業登録と当時に旅行業協会の保証社員になることを予定されている場合は、旅行業登録申請に先立って、旅行業協会への入会審査手続きを進める必要があります。
旅行業協会の入会審査手続きは、審査を受ける協会によっては、入会審査が複雑なため、手続きにもたついていると、手続きを先に進めることができない状況に陥ります。
自力で旅行業登録申請を進めて何とか登録開始できたけど、1年近くかかってしまったという企業様もいらっしゃいました。
おわりに
旅行業登録申請や旅行業協会入会申請は、行政書士に依頼しなくても自力でもできます。
申請手続きには履歴事項全部証明書や定款、決算書が必要になりますが、これらの書類を正確に揃えることができますでしょうか?
申請書類の穴埋めは、これらの書類に記載されている内容を理解して記載していく必要がありますが、どこに必要な情報が記載されているかわかりますか?
決算書読めますか?
行政窓口や旅行業協会の事務局に何度か出向けばいつかは提出書類は完成するでしょう。しかしながら、全国旅行業協会(ANTA)の入会審査に必要な提出期限は待ってくれません。
次回の入会審査の提出期限まで書類を提出できない場合は、2か月後の次々回の入会審査まで待たなければなりません。
その間、旅行業は経営できませんので、事務所の空家賃が発生します。旅行業務取扱管理者を雇用している場合は、その方の人件費も生じます。
旅行業登録に限らず、最近は、手続きの情報、ノウハウをインターネットで調べられるようになったので、自力で行政手続きをしやすくなっていると思います。
一方で、全く手続きのことを理解されておらず雰囲気だけで申請に挑む方もいらっしゃいます。
手続きを自力でやるのか、行政書士に頼むかは、何を優先するかで決まるものだと考えております。