観光法務の専門家集団、行政書士法人シグマです。
さて、先日、全国旅行業協会(ANTA)東京都支部さんより、2021年4月度の入会審査スケジュールが発表になりました。
- 入会書類の提出期限 2021年4月20日(火)
- 入会審査の開催日 2021年4月27日(火)
例年4月の入会審査は、新年度からの旅行業へ参入を希望される企業の方や、旅行会社を退職されて旅行業で起業される方が多く申し込まれます。
4月のANTA入会審査を受けるためにはいつから準備を進めた方がよいのか?
お客様からのよくある質問の1つ目はこの準備開始時期です。
旅行業登録を申請する会社がすでに設立されているのか、それともこれから会社を設立されるのかによって全く状況が異なってきます。
すでに会社が設立されていて登録要件が全て整っているのであれば、概ね1ヶ月の期間があれば準備を整えることができるでしょう。
一方、直近決算期時点では基準資産額が不足しており増資手続きが必要であったり、事業目的に「旅行業」の記載がない場合や、旅行業務取扱管理者に選任する方が社内にいない場合は、登録要件を整えるところからスタートになります。そのため、一日でも早く準備に取り掛かる必要があります。
と申しますのは、ANTA入会審査は概ね2ヶ月毎に開催されているため、登録要件を整えることに時間を要してしまい4月の入会審査に間に合わなかった場合は、6月以降の入会審査を待たなければなりません。営業開始も2ヵ月先となってしまいます。
これから会社を設立して旅行業へ参入される方の場合、旅行事業を行うオフィス(営業所)の確保からはじまり、法務局への会社設立手続き、会社名義の銀行口座の開設手続き、細かいところだと、固定電話・FAX番号の手配(旅行業申請には固定電話番号とFAX番号が必要)などの細々とした準備が必要になってきます。
会社名義の銀行口座の開設は、年々審査が厳しくなっています。口座開設申込みを行っても審査に落ちてしまったり、旅行業登録取得前は銀行口座の開設申込みはそもそも受付しない銀行もあります。準備期間は余裕を持たせることは、円滑に、確実に、旅行事業を立ち上げるための鉄則と言えるでしょう。
上記の2021年4月20日はANTAへの入会書類の提出期限です。提出期限前でも書類が整っていれば書類の提出はできるわけですので、不測の事態が発生しても挽回できるだけの日程を確保しましょう。提出期限ギリギリに準備を進めるのは避けるべきです。
4月のANTA入会審査を通過した場合、旅行業開業時期はいつになるのか?
旅行業で起業されるお客様からのよくある質問の2つ目は旅行業の開業予定時期についてです。
上記2021年4月のANTA入会審査を受けられた場合、通常であれば、5月下旬~6月初旬頃に、東京都への旅行業登録申請の際に必要となる入会承諾書が届く見込みです。
入会承諾書が届いたら、すぐに東京都への旅行業登録申請を行えた場合、申請書類に不備がなく東京都が受理をし、その後の審査が円滑に進行したとすると、7月上旬~7月中旬頃に旅行業の登録を取得することができるでしょう。
旅行業登録後、ANTAへの入会金・年会費、弁済業務保証金分担金を納付し、弁済業務保証金分担金納付完了を東京都へ報告してから旅行業の営業開始となります。
従って、ANTAの4月の入会審査を受けられた場合は、7月中旬以降に、旅行業の営業開始ができるスケジュール感と言えるでしょう。
※本ページでお伝えしているスケジュール感はあくまでも手続きがすべて円滑に進んだと仮定したものであり、状況によっては後ろ倒しになることもあるので、あくまでも目安と思ってください。
旅行業の申請手続きは行政書士へ依頼した方がよいのか?
ANTAへ入会して旅行業の登録を取得を目指す場合、ANTA入会申請手続きと東京都への旅行業登録申請手続きの2つを行わなければなりません。提出書類は一部が重複しますが、申請先によって提出書類が異なるため、不備なく作成して、整える必要があります。
また、ANTA・東京都ともに、申請書類を確認しながら面談が実施されるので、この面談が不安だったという声をよく伺います。
旅行業登録は許認可ですので、取得するためには法令等で規定されている条件(旅行業では登録要件)を満たしていなければなりません。審査期間へ提出する書類は、その登録要件を満たしていることをアピールするために必要となります。条件をクリアーしていない状態で、必要書類を集めて申請書を作って提出しても、旅行業の許認可が取得できないのは、言うまでもないことですよね。
行政書士は、提出書類をお客様に代わって作成すること(代書)も行いますが、書類提出先であるANTAや東京都と手続きが円滑に進むよう連絡・調整を行ったり、旅行業登録の要件を満たしているのかを確認したり、登録要件を満たしていない場合は、どうすれば整えることができるのかを、お客様に提案するなどして、旅行業登録手続きをサポートしております。
このようなサポートに価値を感じることなく、行政書士へ支払う報酬額を事業への「投資」ではなく、単なる「コスト」と感じられるのであれば、行政書士へ依頼せずに自社で旅行業登録申請手続きを進められるのがよいと言えるでしょう。
ごくごく稀に勘違いされている方がいらっしゃる方がいるのであえて言及しますと、ANTAや東京都が発行している必要書類一覧の書類をただ集めて提出したとしても、誰でも、すぐに、旅行業のライセンスが取得できるわけではありません。